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文通

死牡丹・梅泉との文通

「息災か」
 当たり前のような顔をして臆面もなく顔を出した梅泉は何時もと何一つ変わらない。
「どの面を下げてそれを言いますか!」
 牙を剥くように彼を威嚇する『親友』とどうしていいかオロオロとした顔を見せる『恋人』の両方を眺め、小夜は小首を傾げた。
 六月の雨の日、外には天の涙が滴っている。不便な領地に彼が足を運んだ理由は分からない――
「安心せい。長居はせぬ。いいや、これは本来ならば文の一つも贈るが風流と言うものなのじゃが――」
 梅泉の言葉の先は「主にそれは伝わらぬ」であろう。
 盲目の小夜は誰かの介添なしに手紙を知る事は出来ぬ。そして秘める文はそれを余りに不都合にしよう。
「時濡れて
 雨露に咲く
 野薊と
 紅紫の
 あいらしきかな」
「――は?」
「邪魔をした。では、またな」
 明らかに機嫌の悪くなった『親友』とやはりオロオロとする『恋人』の。
 何とも言えない反応はさて置いて、察した小夜は自分の顔に触れた。
 嗚呼、何だ。そう言えば今日は私の誕生日だ。
「そういうところよ……」
 呻く自らが少々苦しい。
 生娘じゃあるまいに――これじゃ私が可愛い野薊だわ。
2021/06/19 04:28:20
あら…確かに「またな」とは言ってたけれど今日も来るなんて…。
いえ、来てくれるのはいつでも歓迎なんだけれど。
(領地に死牡丹遊戯)
2021/06/21 00:29:37
うん? よりによってそれを気にするか。
単に返歌を貰いに来たまでじゃが。
主の頃合(じだい)は余りそんな文化でも無かったかな?
2021/06/22 00:30:00
それは当然、昔は色んな歌が流行ったから私も詠めるけれど、そうねえ。

「露の間に
 ほのかにまみゆ
 梅の花
 さがなき匂ひ
 袖に残れる」

……直に土も乾いて歩きやすくなるでしょうから今日はもう少しゆっくりして行って頂戴。
2021/06/22 06:03:14
ゆかしいな。
剣だ刀だとそればかりかと思えば――これも中々。
では今日は幾分かゆるりとしてゆくか。

わしとて手弱女に強請られれば少し位は、な。
しかし珍しい事もあるものじゃ。
死合う相手とそう長く過ごした事も無かったのじゃがな――
2021/06/24 01:25:14
戯れに見に来た。勝てよ、小夜。
2021/08/18 23:57:17
あら、貴方から託けなんて珍しいこともあるのね。
...そうね、元々負けるつもりはないけれど、何かご褒美があったらもっと頑張れる気がするわ。
2021/08/20 13:32:53
うむ、重畳!
眼福じゃ。腕を上げたな、小夜。
その太刀筋、姿、実に艶やか見事なり。

敗れれば『稽古』でもつけてやるかと思ったが、主には不要じゃな。
褒美か。では、今度茶でも点ててやるとしよう。
手土産の一つもぶら下げて行く故、用意を整えておくが良い。
2021/08/20 15:25:46

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