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文通

ヴェルス・ヴェルク・ヴェンゲルズとの文通

親愛なる我らが皇帝陛下へ。

御機嫌よう。突然お便りをお送りするご無礼をお許し下さいませ。
私は、エーデルガルト・フロールリジです。
フロールリジ家のエッダ、と申せばお分かりになるでしょうか。

多忙なご公務の中、私的な頼りを出す無礼をお許し下さい。
お詫びと言ってはおかしいですが、世間はグラオクローネで湧いておりますので、チョコレートを付けてみました。
首都行きの鉄道に滑り込ませたので鮮度は確かな筈です。

用事があるのかと問われれば、ありません。
重ねて大変申し訳ありません。
ただ、ふと思ってしまったのです。

私は、私が主と仰ぎ見る方がどのような方か知らないな、と。

いえ、”皇帝”としてはよく存じております。
聡明な方。お強い方。我が鉄帝国の皇帝に相応しい方。

ですがそうではなく、”貴方”を私は知らないな、と。
なので、グラオクローネを口実にお手紙を書きました。

さしあたっては。
そうですね、私の好きなものは、戦いとお酒と、善良に生きる人々です。
私の嫌いなものは、私が怒ることをする人です。
陛下。
貴方は、何が好きですか? 何が、嫌いですか?

この戯れがお気に召さなければ、この手紙は炉にくべて無視して下さって構いません。
お怒りならばご一報を。応戦の準備を致します。

ですが、寛大な陛下のお心が、臣の心を汲んで下さることを祈っております。
2021/02/14 20:24:48
フロールリジのエッダ、ね。
勿論名前は知ってるが、そう関わり合う機会が多い訳じゃなかったな。
って事はこれは或る意味で『初対戦』になんのかな。

ま、物騒な事を言ったが大した他意がある訳でもない。
ついでに詩人じゃないから期待するな。

俺の事が知りたいか。
まぁ、改めてそう臆面もなく言われるとなんて答えていいか分からんが……
こんな手紙を寄越す位だ。お前はそう俺の苦手なタイプじゃあないんだろう
だからちょっとだけ付き合ってやろうかな。

俺の好きな事は勿論戦いだ。
多くの鉄帝人がそうである通り、強くなる事程楽しい事は無い。意気に感じる事は無い。
それが血風匂う戦場でも、満員のラド・バウでも野良試合でも構わない。
名誉ある戦いでも卑劣、劣悪な環境でも構わない。負ければ弱いし、勝てば強い。
お前が何を嫌うかは分からないが、俺の言葉をどう思うかは分からないが……

……そうだな、嫌いなものはその戦いを『汚す奴』だ。
どんな手段も肯定するが、俺の人生という戦い自体を否定する奴は許さない。
許さないって事は黙らせるって事だ。嫌ならやっぱりこの俺に勝てばいい。

っと、喋り過ぎたな。
帝国の冬は冷える。前線は尚更だろう、風邪を引くなよ、エッダ。
無理も程々に。お前みたいな愉快な奴がいなくなったらつまらないからな。

――V・V・V
2021/02/18 18:44:04
親愛なる我らが皇帝陛下へ。

丁寧な文、誠痛み入ります。
陛下の苦手なタイプが何かは存じませぬが、私は世間一般と比べると、比較的無礼な人間です。ですので、予めお詫び申し上げておきます。
必要とあらば貴族らしく、例えば幻想のそれのように言葉を美しく飾り立てることも出来ますが、いかが致しましょう。

さて、お手紙拝読致しました。
率直に申しまして、好感の持てる考え方でした。
戦いを汚すことを許さない。
何をもって”汚す”と云うかはさておき、私もそう思っています。

私にとって戦いとは、矛の交わりのみならず、生きること全てだと思っています。たとえ弱くても一所懸命生きている人がいる。生き抜けばそれは勝ったことになる……善良な人々が。
それを妨げることが、私にとっての悪です。

失礼。少々喋り過ぎました。
昨今の冷え込みも、しかし首都ほどではありません。
陛下におかれましても、風邪などお引きになされませぬよう。
貴方のような興味深い方がいなくなったら面白くありませんので。
2021/02/18 22:52:30
親愛なる我らが皇帝陛下へ。

既にお聞き及びとは存じますが、ご報告を。
かの高慢なる、シュペル・M・ウィリーの住処――タワーオブシュペルの踏破に、失敗致しました。

かの塔にて得られる“願い”の権利は、ことによれば北の地に凍らぬ港を作ることも、飢える民を減らすことも、或いは敵を寄せ付けぬ城塞の礎となるものでも、もしかしたら得られたかも知れないのに。

私は、勝ち取りたかったその願いを、棒に振ってしまいました。
誓って全力で臨みました。
ですが、“戦争”ではなく、“共闘”を選んでしまいました。
鉄帝国の勝利よりも、ローレットの勝利を、あの時は選んでしまいました。

そのことに後悔はしていません。
お叱りがあれば謹んで頂戴致します。

しかしただ他の何でもなく、その選択をした事実に対し謝罪を申し上げたく、お手紙をしたためている次第でございます。
陛下であれば、このような傲慢な“謝罪”に対しいちいち動揺したりなさらないかと思い筆を取るこの無礼をお許しくださいまし。

……陛下は。
陛下がもし、かの塔を踏破できたなら。
あの者に、何を願いますか?
2021/09/25 20:04:13
まずはご苦労さんと言っておこう。
『伝説』への登頂なんて羨ましい。
俺も出来るもんなら参加したかったが、バイルの爺さんが卒倒するんでな。
そういうのは避ける事にしてるんだ。

お前は「してしまいました」と言うけどな。
何の責任も無い事で詫びるんじゃねえよ。
俺は可愛げがないお前の方が気に入ってるんだ。

何もしなきゃ何も始まらない。
お前は少なくともやろうとして実際いい所までいったんだろう?
報告書を借りて読んだんだがな、特に勝ち負け無視して最後大暴れしたってのが最高だろ?

……まぁいいや。
怪我もしてるだろうし、消耗も同じくだ。
もうじきに冬が来るし――鉄帝のは寒い。しっかり体は休めときな。
ああ、最後に。俺の願いだっけ。

そりゃ間違いなくこれだ。
『ヴェルス・ヴェルク・ヴェンゲルズは最高の好敵手を望んでいる』。
お前がなってくれても構わないけどね。


――VVV
2021/09/30 00:53:27
親愛なる我らが皇帝陛下へ。
私、この度、皇帝と相成りました。

すでにお聞き及びでしょうから驚いて頂く期待は致しておりません。
また、マリア・レイシス及びルシア・アイリス・アップルトンと並び立っての三帝会戦であり、何より、練達めの用意した箱庭でのこと。

さして大喜びする事由もないのかも知れません。
しかし陛下は御存知ないでしょうが、私にとって帝位とはこの程度の飴菓子で容易く喜べるほど重い意味があるのです。

私の二つ名は雷帝、だそうです。
あちらの陛下は、容易くそれを良しとして下さいました。
尤もあちらの彼は、私が頭を垂れるべき陛下ではなく、閣下なのでしょうが。
と、書いているうちにそもそもそういうことを申すならば閣下とすら呼ぶべきではないことに気付いてしまったのですが。
おそらくあの世界で私は、貴方、あの人を『ヴェルス』とそう呼ぶでしょう。
不遜を前もってお詫びする次第です。

果たして、皇帝とはどう振舞うべきなのでしょう。
私の中にある答えとは私の持つ主観に依存したものであり、これはすでに万民の為の答えではない。
やはり、その答えを出せるのは万民であり。

いえ。

陛下。
私はゼシュテル鉄帝国を愛しています。これは誓って真実です。

ですが。

ああ、懺悔します。私はあの世界で、貴方に弓を引きました。
決して私が選ばぬ選択肢とはいえ、あれは、在り得た、あるいは将来あり得る己の姿なのです。
あの独善的で傲慢で人を人と思わぬ増上慢の己が、己の中に居るのを感じるのです。
“もしも”の世界であるからこそ、それをより感じるのです。

私は怒りの徒です。
何かに怒らずにいられないのです。
ですから、私がもし“そう”なりそうであれば、処断なさって下さい。

そう申し上げたく、この筆を取りました。
冷え込み始める時分です。お体にはご配慮下さいまし。
2021/10/24 23:23:44
拝啓、親愛なる皇帝陛下。
グラオクローネのチョコレートを差し上げる手筈を整えている最中です。
何卒門扉は広く開け放ってお待ちくださるようお願い申し上げます。
2022/01/20 23:30:54
少し遅い返答になるが『怒り』ね。
俺にも何となく分かるよ、エッダ。

こう見えて、俺も良く怒るんだ。
この世界は何とつまらんものかとね。
この俺に好敵手の一つも用意しないんだ。
神様とやらも、八つ当たりを受ける筋合い位はあるだろう?

で、何だい、チョコレートをくれるのかい? 『皇帝陛下』。

前言を撤回しておこう。神様も中々粋だな。
……まぁそういう手合は基本的に断るようにしてるんだが、お前さんならいいだろう。
当日は楽しみにしてるから、いい感じによろしく頼むぜ。


――VVV
2022/01/21 01:26:11
親愛なる我らが皇帝陛下へ。

改めて御報告と、御礼を。
この度ギルド・ローレットは、鳳圏なる小氏族群の長が魔種であると突き止め、これを撃破。空隙となった同地帯を、我らが帝国陸軍の力も用いて平定致しました。

迅速なる派兵、感謝申し上げます。
身内での争いが始まるその前に現れた我々という新たな"敵"は、国内の団結を促すでしょう。
そしてそれは、国を喪った彼らの明日への力となる。
ひいては今度こそ魔種に依らずかの地を開拓せしめ、必ずや我が国の――不毛の地などではない本当の、国力となるでしょう。

臆病者は、"敵"が力を付けることを徒らに踈います。
我らが皇帝陛下が、そうでないことは存じておりますが。
そうでなくてよかったと、思っています。
2022/02/08 00:28:50
ま、それが仕事だからな。
だが、仕事の話はまあいいや。

折角のグラオ・クローネで……
どっかの可愛いメイドが素直じゃないチョコレートの一つもくれたんだろう?

まぁ、俺がやるべきなんて決まってるよな。


――VVV
2022/02/15 18:30:20
親愛なる皇帝陛下へ。

率直に申し上げて、驚いております。
忠臣への褒美としては些か過分な。
いえ。
感謝致します。

あのチョコレートは陛下のご趣味に合わせたものです。
いわゆるリードブローと言ったところです。
今年一年、文を頂戴したなりに臣が愚行した、お喜び頂ける渡し方。
重ねてお気に召して頂けて、何よりです。

さて、“私”はさほどそうは思っていないのですが、一応御約束として御約束の結びの言葉を。

『メイドじゃねえよ』
2022/02/15 23:43:37
親愛なる皇帝陛下へ。

この頃大変御機嫌麗しいことと伺っております。何よりです。
私も、“今のところ”、誰を傷つけることも憚ることもなき冒険譚を楽しんでいる次第です。

ところで私めも、今回の命名権を頂戴致しました。
羨しいですか?
そうですか。

本題についてお話させて頂きたく存じます。
この度、有難くも祝賀会を催して頂けるとのこと。
きっと陛下は、未だ見ぬ新天地に思いを馳せつつも、国主としてのお立場を優先されてお出でにはならないのでしょう。
心中誠にお察し申し上げます。

ですが。
しかし。
バイオン老が何を考えておいでであろうと、貴方がお越し下さることはとても大きな意味があります。
国威発揚は、皇帝としての職務とも矛盾がないはず。

陛下がいらっしゃらなければ、私は、特務大佐との縄張り争いに勤しむことになるのでそれもまた。
何を申したいのかと言えば、折角楽しいこの庭に、楽しみたそうである陛下がいらっしゃらないというのはあまりにお可哀想であると。

ええ。

出来れば、この面白き巷を共有したく存じます。
ご一考の程を。
2022/05/16 01:20:45

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