シャルロッテ・ド・レーヌ　様

初めてお便り差し上げますこと、甚だ失礼とは存じますがどうかお許しください。
私は、先の新年祝賀会でシャルロッテ様にご挨拶をさせていただいた特異運命座標の一人です。当日は短い挨拶となってしまった為、改めてご挨拶と御礼を申し上げたく、筆を執らせて頂きました。

先日は新年祝賀会へのご招待誠にありがとうございました。
陛下と貴方様にお会い出来、喜ばしい気持ちと共に身が引き締まる想いでした。今後も特異運命座標として、又、幻想国に領地を持つ者として、ご期待に沿えるよう努力して参る所存でございますので、何卒宜しくお願い申し上げます。

お忙しい毎日のことと存じますので、どうぞご自愛ください。
いずれまたお会いできる日を楽しみにしております。　

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P.S

杞憂かとは存じますが、お顔色が優れないようでしたので、宜しければ此方をお使いください。領地の特産品として試作したモイストポプリです。気分を和らげる効果があるとのことです。お部屋に置いて、香りをお楽しみいただければ。

（ラベンダーの香りのする小包と封筒の中には2枚の便箋。差出人の名前は書かれていない。封筒には領地の住所のみ記載されている）

「　何　故　返　事　が　届　い　た　！？　」
「そんな馬鹿な！住所も名前も一切書かなかったはずだぞ！」
「此方から一方的に不要品を送りつけてザマァしてやろうという計画が台無しじゃないか！？」
『うわぁ、めっさ引くゥ』　
「……何だその反応。さてはお前の仕業だな？」

「畜生、また返事を書くことになるのか。ただの人間風情に美天使たるこの俺が……ぐぬぬぬ、おのれ花の騎士！敬語、敬語……返事……敬語……謙虚……敬語……（ブツブツ）」

シャルロッテ・ド・レーヌ様

お忙しい中ご返信頂き、誠にありがとうございました。
私はまだ貴方様に本当の自分を見せる勇気がありません。ですからどうかこのまま名無しとお呼びください。幻想国の為に働き、戦果を上げ、誇れる自分へと近づけたその暁には本当の名をシャルロッテ様に告げるとお約束します。

それから、ポプリを気に入って頂けたようで安心しました。
あのポプリに使用したラベンダーは私の領地の住人達が育てたものです。シャルロッテ様に使って頂けたことを報告したところ、皆喜んでいました。ぜひまた贈り物をしたいと言っています。もしご迷惑でなければ、受け取っていただけますか。

他人の心配をしている場合か。俺達の被害はごく僅かなものだった。むしろ、あの戦で深く傷つき悲しんだのはお前達の方だろう。

先の幻想国の騒動……結局、手の届く範囲を守るだけで終わってしまったな。
アイツに何もしてやれなかった。気遣う言葉をかけてやれたら良かったんだが。

……！！何を言ってるんだ俺は。別にそんな……心配なんて。
うん、必要ないな！初対面で正座させて無礼だなんだと説教した女だぞ。

落ち着け俺よ……落ち着くんだ。この手紙と贈り物はいずれあの女に稔様は高貴で美しく偉大な天使であると認識させることを目的として始めたんだぞ？普通に心配してどうするんだ。

か、顔がにやけているのも気のせいだ。
また返事貰えて嬉しいとか全然思ってない、絶対思ってない！

ククク、シャルロッテめ……！今はまだ油断しているようだが、いずれ目に物見せてくれるわ。
祝勝会で約束した通りピンチの時に颯爽と駆けつけたりしてなぁ！
贈り物とか、もう考えに考え抜いてすごいものを送りつけてやるからなぁ！
この俺の素ん晴らしい活躍と優しい気遣いに、感動のあまり咽び泣くがいい。

~A FEW MOMENTS LATER ~

ぜぇ…ぜぇ…突然アドラステイアの中層に行けるようになったり突然宿敵が現れたり……バタバタしていたらグラオ・クローネの時期になってしまったではないか！手紙、手紙を…！このままではアイツに嫌われてしま…じゃなかった。計画が台無しになってしまう！

親愛なるシャルロッテ様へ

遅ればせながら、ご心配をおかけしたお詫びと感謝をお伝えしたく筆を執らせて頂きました。
こちらはお陰様をもちまして変わりなく過ごしております。
先の戦いでは私の領地にも被害が出ましたが、
領民達の協力もあり、元の状態まで戻すことが出来ました。
そちらはその後、如何お過ごしでしょうか。

働きすぎd（打ち消し線）は毒になりますから、たまには休m（打ち消し線）お休みを取って、ゆっくりなさってくださいね。