こうして文を送ってきたということはこちらのことも既知だろうが――フレイムタンだ。同郷であり同胞とは珍しいやもしれんな。
銀の森の近況か。……ふむ。
記憶が朧と言うならば、貴殿には一般的に知られているかの森の知があった方が良いだろう。
銀の森は鉄帝に位置し、ラサの温暖な空気が流れてくる場所だ。解けない雪――万年雪でも知られている。貴殿は雪景色のことを覚えているだろうか?
その景色にヒトは心奪われ、今やガイドブックに載っているらしい。我らの郷が観光地とは思わなかったな。故に一部ではあるが、警備のための巡回ルートが存在しているそうだ。
我も人づてで耳にしたことばかり、正確なところは図れないが……嗚呼、次に文を出す頃には最近訪れた者から話を聞いておこう。
我も久しく訪れていない故、今度足を踏み入れてみるのも悪くないか。……ヒトで言う『里帰り』というものだな。
少なくとも、最近で銀の森に異変を感じたと言う話は知らぬ。同胞(精霊)たちの騒めきも然り。
我らが急ぎ向かわなければならない事態は起こってなかろうよ。
2021/02/16 16:48:06