――妬ましい。
どうして彼らはのうのうと生きているのか。
どうして彼らはのうのうと英雄の様に扱われるのか。
どうして私は彼らを頼ろうなどと思ったのか。
あの少年の瞳が焼き付いて離れない。
嘲笑う者よ。貴方は私は覚えていますか?
路傍の石にしかすぎぬと忘却の彼方でしょうか。
貴方が私を忘れても。
私は。
お前を忘れない。
奥歯で噛み締め覚えている。喉の奥を震わせる業火がある。
もしももう一度相まみえたなら必ず殺してやる。
お前達は世界を救うかもしれないが
私達を救う事は無かった。
私の大事なものは全てお前達に奪われた。
絞首台の音が響いている。落とされる、奈落への音が響いてくる。
幾度も夢見る死への足音。
――いつかお前にも聞かせてやる。
路傍の石に躓かせてやる。
私の命がお前の旅路といつか交わったなら、いつか、いつか……
思い知らせてやる。
■――謎の記述。とある牢の片隅にて……
2021/01/23 23:21:53