文通 業彬との文通 « first ‹ prev 1 next › last » 『惣闇(つつやみ)に 京の夜空は 遠けれど 面影にして 見ゆとふものを』 (あの日見た真っ黒な夜空に浮かぶ天の川は、遠くてもこの惣闇の地で面影を見ることはできるけれど。あの日出会ったあなたのことも、たまには思い出したいものです。) ふふ、なんて。お返事、くらはるかしら?2021/01/17 00:09:14 『うち霧らし 雪の通ひ路 踏み越えて 旅の夜風に 君や求めむ』 (夏の夜に共に見た空は一面の冬雲に覆われ、我らも今はこうして牽牛と織女の如く隔たれている。 神使たるそなたは今何処の旅の空の下にいるのであろう? 天ノ川に架けた鵲の白き橋を渡るように、降り積もる霜雪を踏み越えて会いにゆこう。 夜の風に、夏空を懐かしむそなたの在処を尋ねながら) (仄かに匂いたつ山茶に文を結び) 2021/01/19 00:30:54 『うたた寝に 袖折り返す ゆふぐれの 夢の通い路 人想ふとて』 (衣を裏返して寝ると、夢の中であなたに会えると聞いたので。 憎いお返事を頂いたものだから、つい夕刻からあなたを思って試してしまいましたよ。 夢ではお会い出来なかったけれど、きっと夜になれば会いに来てくださるのでしょう?) (文の結ばれた黄梅の枝と共に)2021/01/19 23:46:22 『思い寝に 衣かたしく ぬばたまの 夜はずがらに あひにけるかな』 (我を夢にみんと袖を返して寝てくれていたのだな。 我もまたそなたを想いながら片袖を敷いての独り寝であった。 それゆえ想いが通じ合うたのであろう。 一晩中そなたとの夢の中で逢瀬を交わしていたのは) (御所車を描いた扇に歌を書き綴る)2021/01/21 22:08:08 « first ‹ prev 1 next › last »