素敵な文をありがとう。
お主の健やかなる一日を我は嬉しく思う。

こんなので良い。こんなのが良い。
お主の思う事は、我にも覚えがある。
己の小さきを嘆くことも覚えがある。
それで良い。我もそうであった。

そうであったと言えば、我もそういう大層な贈り物をしてしまったことがある。
よっつかいつつの時、誕生祝いに貰ったケーキを姉に半分あげたのじゃ。
5段重ねの食べきれないようなやつをな。

ひとかけ食べたケーキを返されて、ありがとうとにこやかに言われた。
今でも恥ずかしい、己の失敗じゃ。

かわいい文をありがとう。
お主の健やかなる一日を我は嬉しく思う。

素直になれ、と人は言う。
それがどれほど難しいか。
特に、心を鎧で守って来た者には特に。

自分の気持ちを認めるのは難しいから、我はな。
相手の気持ちを認めてあげるほうが簡単ですぐできるのじゃと思う。

例えばそれは、誘ってくれてありがとう、ではなく、つづりの為に誘ってくれたのだな、と思うことであり。
食べきれなくて返されたケーキの、それでも食べてくれたことを喜ぶことでもあり。

失敗しても嫌われないとは限らないが、嫌われそうな失敗をしても己を愛してくれる相手を信じることでもあり。

お主は変わらず、きっと、つづりを愛して生きればよい。
愛し方の幅が広がれば、きっとつづりに連なる世界の見方の幅も広がってくるじゃろう。

我が、カタラァナと己という世界を通してつづりに肩入れし、つづりの片割れということでお主を気にかけ、今はただお主と話すことが楽しいように。

面映いが、良き文をありがとう。
お主の健やかなる一日を我は嬉しく思う。

信用と信頼は、似ているようで違う。
信用とは通貨であり、信頼とは信託じゃ。
どちらも裏切られないことを望み、裏切られたら悲しい。
裏切られることを前提に置く信用もあれば、裏切りを許さぬ信頼もある。
気持ちの損得は数では計れぬ。

勇者のメダリオンなるものが、今、こちらの大陸のレガド＝イルシオンという国でにわかに価値を隆盛させておる。
金銭ではなく名誉を取引する通貨。
これで取引できるのは、果たして信用じゃろうか？信頼じゃろうか？

己の通貨価値が無い時に助けると言う者は、もしかしたら信頼に値するのかも知れんな。
我を、姉（おねえちゃん、と書いて消してある）のようと言ってくれたその気持ちのように。

忠告と諫言をありがとう。
承知しない、なんて、そんな強い心配の言葉がお主から出てくるなんてとてもびっくりしたし、嬉しい。
以前のお主であれば、こういう時、もっとそっけない心配をしていた気がするからの。

うむ。
我もまた、勇者だの何だのという興行に参加しておる。
放っておいても良かったのじゃがな。

レガド・イルシオンという国と我らはいわば消極的な同盟関係にある。
喩えていうならば、都合の良い時だけ利用し合う国、じゃ。
我はイレギュラーズでもある以上、そこがどんな国であれ仕事は請け負うが、心情的にレガドに肩入れはそうせぬ。

であれば、なぜというと、説明が難しいのじゃがな。

たとえばよ。
つづりが、自分と。そう、お主、そそぎに注ぐのと変わらないくらいの熱情を注ぐ者がいたとして。
そやつが一所懸命に事を為そうとするなら。

まったく関係はないし、どうなれとも知らぬが、一生懸命に働きたくはなるものじゃ。
そういうものなのじゃと思うが。

どうなのじゃろうな？