幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
なんでも来いです!
なんでも来いです!
関連キャラクター:ベルナルド=ヴァレンティーノ
- とある日の無茶苦茶なアトリエ
- 「……」
「……なあ」
「何?」
「何で俺のアトリエでグレモリーが娯楽小説を読んでいるんだ」
「アイデアが欲しくて」
「自分の家じゃ駄目なのか?」
「自分の家だったらこの椅子じゃないでしょ?」
「そうだな! ああッストレスフル! 最高に身体的にストレスだ!」
「あんたは何で喜んで椅子になってんだよ莫迦師匠!!!」
「僕が椅子がないって言ったらなってくれた」
「グレモリー、お前はそういう奴だったのか?」
「案外サディストなんだなって正直ぞくぞくした。本当に良い友人を持ったな、ベルナルド」
「あんたはそういう奴だよ」
「ベルナルド、手を止めてて良いの? そろそろ〆切なんでしょ?」
「そうなんだけどさあ! お前らが視界をチラつくから!」
「……。僕らがいると、邪魔、かな……」
「そんなしおらしい顔しても駄目。小説読むなら家で読んだ方が集中できるだろ?」
「ストレスかけてほしいんだけど、駄目、かな……」
「二人で家でやってくれるか?」
「えっ、ベルナルドは僕と泰助が二人きりになっても良いの」
「????」
「俺がグレモリーに酷い目に遭わされても良いって言うのか! 俺は一向に構わないけど!」
「グレモリーがあんたの性癖に染まらないかだけが心配だよ」
「僕には精々、無視を続ける事しか出来ないけど其れで良ければ……」
「其れで良ければ、じゃないんだグレモリー。よせ! 染まるな!」
「この娯楽小説にはもっと凄い事が書いてあるのに」
「何を読んでるんだ?」
「泰助に借りた。えーと……“男はドスを締めた包帯に押し込むと、一人仇の組へと鉄砲のように……”」
「明らかに駄目な奴!! コラッ!! 師匠!!」
「世の中を広く知るのは画家にとっては必修項目だろ?」
「こういう時だけマトモな事を言うんじゃない! グレモリーになんて事を教えてるんだ! グレモリー、これはフィクションだからな。はい没収」
「あー」
「あ゛ッ、重心が傾いて……!! うぐうっ腰にくる……! あっ!! 閃いた!」
「あー」
「グレモリーーー!!!! 何吹き飛ばしてんだ莫迦師匠!!」
「閃いたんだよ!! キャンバスは!? ペンは何処にある!?」
「自分で探せ! グレモリー、しっかりしろ!! 俺が判るか?」
「……竜墨のリョウ」
「おっ、其れはさっきの娯楽小説のライバルだな」
「もう駄目だこいつら……」
〆切には間に合いました。良かったね、ベルナルド。 - 執筆:奇古譚