PandoraPartyProject

幕間

雛鳥

関連キャラクター:ジェック・アーロン

アフターサービス
●後日談
「フン。実に無様なものだ」
「後天的にあんなもんが生えたらそりゃあ仕方ないって話だろ」
 遠隔モニターの映像の中で悪戦苦闘するジェック・アーロン(p3p004755)を眺めたシュペル・M・ウィリー(p3n000158)の手厳しい一言に、レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)は半ば呆れたかのような溜息を吐き出した。
 ローレットのオーダー品を迎えにいくついでの訪問である。
 孤独癖が強い割に付き合いの良い天才はそんなレオンを早々に追い返しかけ、思い直したように問うたものだ。

 ――そういえば、あの話を聞かない娘はどうした?

「……本当に面倒くさい奴だな。オマエ」
「人間如きの身の上で小生を論評するな。実に不敬で不愉快だ!」

 ――そう、そうやって動かすですよ。肩の下辺りに神経を集中して……
   まぁ、翼歴一ヶ月もないジェックさんがボクのようにいかないのは当然なのです。
   これからはユリーカ師匠と呼ぶです。そうしたら飛べるようにしてやるのです。

 ――う、うーん。抵抗のある発言だなぁ……

 映像の中でじゃれ合うユリーカ・ユリカ(p3n000003)とジェックにシュペルは何度目か鼻を鳴らした。
「随分と幸福そうではないか。ええ?
 今回はたまたまに賽の目が良い方向を向いたに過ぎまいに。
 ……先だっての悲壮ぶりが嘘のようだな!」
「煽ったのはオマエだろうに。またどうしてそんな意地悪を」
「……」
 顎に手を当てたシュペルは少しだけ逡巡した。
 逡巡してから、口を開いた。
「中々に我慢強い娘みたいだったからな。まぁ、多少なりとも真っ直ぐに向かうには薬の一つも必要だろう?」
「それはそれは。オマエにしちゃあ随分、お人好しじゃないか?」
「神は寛大で時に気まぐれなものなのだよ」

 ――だから。お前はもう、塔を登るな

 感傷だよ。何か悪いか?
「中途半端な行動は退屈な結末しか招かんよ。
 元はと言えば貴様の不敬で『小生を関わらせたのが悪い』のだ。
 小生に退屈なシナリオを書かせるなぞ、決して許されるものではないというだけだ」

 ――こ、こう?

 ――はー! 全然駄目なのです。じぇっくはまだひよっこなのです!

 ――ユリーカちゃん、調子に乗ってない?

 ――は??? この師匠に向かっていい度胸なのです。かかってこいです!

 ――ふーん。そういう感じで来るんだ。へー。

 ――あ゛ぁああああああ! ぐりぐりは辞めるです! じぇっく! ドロ呼ぶですよ!

 ――呼ぶんじゃない!!!

「……何やってんだか」
「さあな」
 レオンは思わず吹き出してシュペルは卓上のコーヒーに口をつけた。
 実に有閑でくだらない一日だが、まぁ時にはそんな風も悪くはなかろうと思われた――
執筆:YAMIDEITEI

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