PandoraPartyProject

幕間

ゲーム実況配信プレイ

悪霊系PTuberクウハのゲーム実況。
ゲストをお呼びする事もある模様。
クソゲーから名作ゲーまで楽しく遊ぼう!


関連キャラクター:クウハ

【クウハ】ときめき☆ドリフターズ【完全初見実況プレイ】
「よォ、親愛なる暇人ども。今日もゲーム実況、やっていきますか」

「今回の実況は匿名希望さんのリクエスト『ときめき☆ドリフターズ』という乙女ゲーを初見プレイだ。誰だ、こんなんリクエストしたやつ」

「まァ、男性実況者が乙女ゲーやるの、流行ってるもんなァ。俺も流行りに乗っかるとしますか。つーわけで、ゲームスタート、と」

「……おい、ゲーム開始から無人島に漂流してるんだが。導入からおかしいだろ。ドリフターズってそういうこと? コメントも『愉悦』じゃねェんだわ」

「あ~、無人島でサバイバルしながら一緒に漂流した男どもと恋愛すりゃいいんだな。はいはいなるほど、完全に理解した」

・・・

「ダァーッ! またイノシシに殺られた! イノシシ強すぎんだろ! まァ現実でもそこそこ強いけども!」

「それにしても、なんでコイツらキツネにすら苦戦してんだよ。キツネくらい、俺なら楽勝だっつの」

「これサバイバル要素が大変すぎて男との好感度上げてる場合じゃないんだが。難易度高すぎねェか?」

「あ~あ……男死んじゃった……ちょっとタバコ吸っていい? 弔いタバコ」

「今日はこのくらいにしときますか。乙女ゲー、意外とハマるな。これを乙女ゲーと呼んでいいのか分からんが」

「ちょっと次回リベンジするわ。攻略wiki読み込んどくわ。じゃあ、またな、親愛なる暇人ども。投げ銭はほどほどにしておけよ~」
謎解きゲー(?)をやるぞ
「よぉ、親愛なる暇人共。今日も始めていくか」

「今日はその辺りで拾ってきた謎解きの……いや、投げ銭はえーなオイ。まだゲームすら始めてないんだが、しかも高額だしよ。金は大事にしろよなってこれ毎回言ってねーか?」

「まぁいいか、今日は面白そうだったから拾ってきた謎解き×ホラー風味のゲームだな。まぁホラーは怖くないんだが」

「導入はあるあるな感じだな。洋館の噂を調べにビデオカメラと懐中電灯片手にいざ……ってそもそも主人公一人で古びた洋館なんか行くなよって話なんだが」

「ほーらみろ閉じ込められた。俺だってそうするわ、いいカモだぞ。お前らも暇だからって行くなよ、こういう実況見とくぐらいにしとけ」

「なるほどな? この部屋から出る方法をとりあえず探せってことだな」

「大体こういうのは隅っこの方とか調べるのがセオリーだよな。ポチポチっと、ほらな、ってなんでこんなところにプルタブが落ちてるんだ。そしてなんで拾おうと思ったんだそれを。見つけたのは俺だけど!」

「プルタブなぁ、床に空いた穴に落としてみるか。落とせるか知らんけど。お、落ちた」

「これで何が起きるって話だよな、お? ムービー? 進展あったのか?」

「ほう、プルタブ落とした穴からネズミが……って多いな。いや多いどころじゃねぇな、主人公喰われてるじゃねーか!」

「は? ゲームオーバー? 謎解きミスったらゲームオーバーになるのかこのゲーム」

「おいコラ『おめでとう』って嬉々として投げ銭すんじゃねぇ!」

「急にコメント増えたなぁ! 『プルタブもう一回』じゃねーんだわ! ゲームが進まないんだぞおい」

 ──────

「やっと部屋を抜け出せたな、結局プルタブ使わなかったが」

「プルタブを使おうと考えなければあっさり脱出出来た気もするな。トラップじゃねーかプルタブ。プルタブのくせに」

「次は廊下から玄関への扉だな、ん、なになに? 左の棚の上?」

「謎解きなんだからネタバレとかはほどほどにしとけよーったく……またプルタブじゃねーか!!!」

「草を生やすな草を! 今度お前の家の前にプルタブだけ山のようにばら撒いてやるから覚悟しとけよ」

「どうせプルタブは罠だから使わねーぞ。『ちっ』じゃねーんだわ。わかってるんだよ」

「まぁ道具を探して回るか。ポチポチポチっと」

「おん? またムービー? 女性の幽霊が…………すげー叫び声だったな。画面の前の暇人ども、生きてるかー?」

「『心臓が止まった』? そりゃご愁傷様。幽霊になっても暇だったら見ててくれな」

「また最初からになっちまったし今日はここまでにしとくかァ。ホラーってよりも死にゲー風味だったな、どっちかと言えば。投げ銭はプルタブにして送り届けておくから覚悟しとけよー」
執筆:心音マリ
収攬
「よぉ、親愛なる暇人共。今日もテキトーにやってくぞー」

「今回はなぁ、最近やり込んでて一度クリアしたからよ。mod導入して再スタートってカンジ」

「キャラクリから俺様全部見せちゃう。って嗚呼、そうだわ」

「ドラゴンを機関車にするmodとか入れてたな。マジで機関車飛んでるウケるンだけど」

「今更だけど此のゲームを初見って奴にゃ何が起こってるか判らねえーよな、悪ィ悪ィ……」

「ってコラ、『クウハ君優しい~』じゃねーよ、何時も云ってけど金は大事に使えっての!!」

「そういやよ、急に冷え込んだじゃん? …………イヤ、其の、何だ」

「だから、あー、あーッ!! 投げ銭なンていいから精々あったけぇモン買ったりよ、してくれって感じでよ!」

「俺様みたいな幽霊は熱いとか寒いとか無いけどよー、人間は弱っちぃからさー」

「で、今回のキャラなんだけどよ、男がいい? 女がいい? コメ宜しくー」

「見たとこ、女の方が多そうか? ほんほん、成る程ね」

「ンじゃ、人種は此れでー…… 判る、ちょっと眉間に皺寄ってるけど美人だよなァ?」

「髪の色は此れだな、あぁん? 派手? いーじゃんネオンピンク。バブリーさが堪らねえだろ?」

「名前どーすっかねって事でレッツシンキングターイム! 俺様はヤニタイムとシケ込みますか」

「ぶっは、待てよ『花子』多くね? 此の形で花子? いやお前等が良いなら良いけどよ。はい休憩終わりー」

「ってなワケでお前は今日から『花子』な、完全初見に配慮してメインストーリーは触らないで行くからなー」

「どぅるるるるるるるるるるるん、じゃんっ! 魔法と錬金アゲつつ盗賊ルート~!」

「先ずは此のハゲ上司の頭を後ろから不意打ちでしこたま――…… 殴る!」

「とだな、此処で無限にポイントが稼げるんだわ。いやー楽チン楽チン!」

「あ゛? 『スッキリしたからお金』だ? なンてーか闇深いな……ま、余り思い詰めるなよ……」

「今度リスナーからの質問とか相談受け付けてトーク回とかしたら需要あンのかね?」

「意外と高反応で俺様ビビるー! OK、OK、なら配信が終わった後にコメで残しとけ、何でも良いぞ」

「『F*** you! F*** you!』ってうっせェな……って蟹だわ。そういやそんなmodもあったあった」

「此の蟹序盤で出て来る中じゃ結構強いんだよなー、其の癖ロクなモン落とさねーし」

「ってかmod、配布数が多過ぎてよ、何入れたかもー覚えてないのもあるわ」

 ――
 ――――

「此のゲームやった事ねーよって奴もさ、今から流れる台詞くれぇは知ってンじゃねぇかなぁ」

 ――『膝に矢を受けてしまって――……』

「からのぉ~? 爆発四散! ドゥーンッ!!」

 ――『そういえば、最後に山賊の襲撃があってから随分経つな……」

「其の瞬間にィ~? 山賊が襲ってくる~! 南無三!」

「こんだけ笑かせてくれるのが無償でゴロゴロ転がってるんだもんよ、頭が上がらねーぜ」

「で、さっきからせっせと伸ばしてたツリーの此のスキルを取るとだな」

「何と、キャベツが投げれる様になる」

「うん、キャベツ」

 ――
 ――――

「って、結構イイ時間じゃん? 今日は此処らで寝床を探してセーブして終わりにすっぞー」

「おうおう、ブーイングをサンキュー。夜更かしな野郎もレディもおやすみな、ちゃんと布団着て寝ろよー!」

「ほい、また見てくれよなァ」
執筆:しらね葵
悪霊の怪電波放送 #13  ホラゲリメイク
「よお親愛なる隣人共、クウハ様だ。今日は最近リメイク版が発売されたifってゲームをやっていくぜ。博物館を探索するゲームだ。ま、俺様は初見なんだがな」

[お小遣いだよ]

「……ありがとな。皆は金を大事にしろよ」

 一般通過赤スパがコメント欄の定位置に付いた頃にはゲームは始まっていた。家族と共に様々な品々が並ぶ博物館にやってきた主人公の少女。クウハがあちこちに連れ回していると――いつの間にやら雰囲気が一変、一人ぼっちに。
 
「んん……?」

 更に歩き回る少女は特別展示[ラ・クフト展]の中に存在する、一つの展示品に強く惹かれた。それは銀の鍵が置かれたテーブルの描かれた白いキャンパス、題を[万変たる未知]。しかしゲーム上の表示は[??たる??]。

「おい読めねえぞ」

>子供に酷な事をさせるな

「っせーな勧めたのテメエだろうが」

・触れますか?
▼はい
▽いいえ

 
 明転。


 辿り着いたのは白い部屋。中央にはキャンパスに描かれていたのと同じ銀の鍵。誘われるように少女は鍵を取って、現れた扉の鍵を開く。キィィィ――と音を立てて。

「急に暗くなったな……皆は画面見えてるか?」
 
 扉の先は黒い部屋。インクの滲みた床と壁、額縁と机。先程の白い部屋とは対照的で、額縁には廊下が描かれているように見える。他に調べられる場所はない。仕方ないかと再び額縁に触れる。

 暗転 後 覚醒。

 再び"額縁"を越えた少女。辿り着いたのはやはり博物館。だが、明るかった窓の外は暗く、落陽している。額縁にも触れるが、扉の空いた黒い部屋の描かれたキャンパスは動かない。題名は[退屈なる既知]と変貌した。もちろん少女には読めないが。

「どこだよここ…マジで」

 悪態をつきながらも少女を操作するクウハ。セーブポイントらしいバタフライに触れ、準備万端と絵の前から飛び出す。

――カタカタカタカタ――

 幾ばくかの髑髏が笑いながら展覧会の外へ出る。その光景を見た。クウハにとっては悪戯に過ぎないが、少女にとっては声を上げるに十分なモノだった。後ろから、前から、迫る髑髏。それだけではない、異形の者どもも文字通り滲み出でた。ソレから滴る液体が、少女の鼓動を加速させる。
 
「ヤベぇっコッチ来やがった!」

 安全なムービーシーンは終わり。未知なる博物館の逃走劇の始まり。非力な少女は逃げ回ることしかできない。逃げて、死んで、また逃げて――新たな額縁を見つけました。動く絵の額縁。少女は、間一髪の所で飛び込んだ。

 回る 宇宙 視界は回って

 サブリミナルな画面転換の末、今度は――煉瓦造りの家の中に居た。通ってきた額縁は暗く、キャンパスの先には異形が這いまわっているのが見える。また、窓の外には円状の軌跡を残す北極星達も。

「いや何処だよここ。狂ってんのか?」

>お似合いだな

「るせぇ」

 狂気に囚われた少女は、羽ばたく蝶に手を伸ばす。
 クウハはコントローラーを置いて、背筋を伸ばす。

「ふぅ……よし、今日の配信は終わりだ。お疲れさん」

>おっつー
[コーヒー代]

──配信終了 1:06.6
【リクエスト枠】#5 コントローラーすげぇ
「よぉ、親愛なる暇人共。今日は匿名で送り付けられたゲームをやる。完全初見だから何が起こっても自己責任で視聴しろよ。はい、よーいスタート」

 …………。

「あ? スタートボタン押してるだろうが。コントローラー逝ったか?」

 ドダダダダダ。PUSHSTARTを押しまくり、漸く画面が変わる。
 からのいきなりの罵倒。

『ちょっと馬鹿なのやめてよ!? あなた今47回も連打したわ! 気が短い、そんなんじゃ勇者になれないわ!! もう押さなくていいって言ってるでしょ馬鹿!!』

「は? 何だこれ回数数えてんの? つか連打まで仕様なのかよ、待つタイプの人間だったら永遠に始まらねぇだろ」

『もう分かってると思うけど、この世界は闇に包まれてしまったの。その為に選ばれた勇者があなたよ! ここまで覚えている?』

▶はい
 いいえ

「知らねぇー……まぁ『はい』でいいか」
『知ったかぶりしないで!! 私はまだ説明してないわ!! あなたってとっても気が短くて嘘吐きなのね!!』
「あ”? もう辞めて良いかこのゲーム」

[こいつ最後までこうだよ]
[クウハ様がキレんのおもしろwwwww]

「このゲーム送ってきたやつ、お返しに呪っておくから光栄に思え。で、えーと……」

 ~あらすじ~
 剣と魔法の世界が舞台のRPGをプレイしていたあなたは、突如としてゲームの中に吸い込まれてしまう。
 剣も魔法も使えない一般人のあなたが頼れるのは、己のゲームの知識と不思議な力を宿したコントローラー!!
 世界をあなたの手で救い、作り替えよう!

「よくこれを俺に送ろうと思ったな。仕方ねぇ、趣味じゃねぇが遊んでやる」

[クウハ様ありがとうございます!!]>投げ銭50000円

「馬鹿やろゲーム本体の100倍以上の投げ銭すんな気持ち悪ィ。金は大事に使え。で、えー……コントローラーの機能は……『他者の意見・選択を強制的に選ぶ・変更できる』。はぁーん? これで言う事聞かせていくってことか。イイじゃねぇか戦争しようぜ戦争、ちょっくら王様のとこ行って魔王に全面戦争仕掛けるわ」

王様『私に 何か 用かね?』

 守りを固めましょう
 敵の行軍を予知して迎撃しましょう
▶攻め入りましょう
 降伏しましょう

王様『な、なにを言っている!? そのようなこと(ポチッ)……そなたの 言う通りだ。待っていては埒があかぬ。先手を打つぞ!』
大臣A『王様、ご乱心ですか!?』
王様『私の意見に 反するか! 逆賊として ひっとらえるぞ!』
大臣B『あわわ……』

「めっちゃ仲間割れしだしてるわ。魔王が滅ぼさなくても勝手に滅亡しそうな国だな……」
『ちょっとちょっと~!? なにしてるの!? 正しい選択を選んでよ!!』
「お、最初の声」
『あなたは選ばれたのよ! どうして前準備もなく魔王を倒しに(ぽち)……勝算があるのね、わかったわ』
「ナビゲーターにも効くのかよこのコントローラー。1480円のクッソ安いやつなんだが」

 全面戦争、魔王軍の勝利!

魔王『そなたが 我が国に 攻め入ろうと 提案した者か。何が 望みだ?』

 地位
 名誉
 金
▶その他

「その他ってなんだ?」
魔王『それで よいのか』
「先に内容教えろよ」
魔王『では そなたを 我が妻に(ぽち)……あなたの好きにしてください』
「…………」

 ぶつん。

「今日の配信は以上だ。全員マスかいて寝ろ」

[乙]
[おやすみなさ~い]
「何でもありって事は何でも起こるって事」

「いぇいいぇい、人の金で遊ぶゲームは最高だなっと、私だ〜っ!!」

 配信開始直後、画面にドアップで映る赤髪の少女。クウハに引っ張られ元の定位置に戻された。

「オイ卮濘、あんまりカメラに近づくな。 壊れたら弁償させるからな」
「今デスワードルしかない」
「何でだよ」

 ピラピラと狂ったような笑顔の印刷された紙切れをチラつかせ、本題へ。 次に取り出されたパッケージには爆発と、爆発と、爆発と、あと廃車と廃車にそれらのをなんとか走り抜ける車が描かれていた。

「今回は私が用意したこのゲーム、[All ways to die]をやってくよ!」
「物騒な名前だがコイツがどうしてもやりたいってんでな……あ、今更だが今回はコラボ配信な」

 そういうわけで早速スイッチオン。前置きはサラッと流すに限る。初めはキャラメイク…ではなくカーメイク。好きなパーツを組み合わせて車両を作るのだ。というわけで二人が作ったのがこちら。

「できたぜ! パイルバンcar!」
「ふざけた車だな」
 
 卮濘が作ったのは燃費最悪近距離武器マシマシのモンスターマシン。
 クウハが作ったのは撒菱ポロポロ銃器牽制のニンジャマシン。
 
「まずは……二人対戦でもするか。操作方法は説明書読んだからできるだろ」
「ふふふ……貴様の貧弱そうな車体ごと全てを粉砕してやる……」
「後で泣き言言っても知らねーぞ」
「それはこっちのセリフだし〜!」
 
 ステージはランダム選択――廃工場。障害物がある屋内ステージで、見通しが悪いものの二階建てのため見渡せない事はない。ローディングを終わらせて、いざ対戦開始。
 クウハはまず撒菱を設置、地雷なども適度にばら撒く事で足を潰しチクチクと削る算段だ。
 対して卮濘は力に物を言わせて障害物を潰し、破壊し、飛ばして、クウハを探す。お互いの画面から破壊音が大音量で響く。
 
「うるせぇ!」
「ふっはは〜……おっ、そこだな!?」
「クッソバレたか!?」

 卮濘が今し方飛ばしたドラム缶が地雷にヒット、誘爆の影響でクウハにダメージが入り、音で卮濘は敵の位置を捕捉。ご機嫌に排気の音を轟かせ向かってくるパイルバンcar。クウハの張る罠の城に――見事に引っかかった。

「はぁ!?パンクしたんだが!?」
「引っかかったなぁ卮濘ぃ!」
「だぁ〜くっそ腹立つぅっ!」

 近距離兵装ばかりを装備していたのが仇となり、チクチクと射撃で削られてエンジンに引火。爆発までのカウントダウン開始。

「ぁぁぁぁぁ負けたくねぇぇぇ!!!」
「油断して突っ込んでくる方が悪ぃよなぁ〜??」
「くそっ……ってそっちこそ油断して姿見せたな喰らえパイルバンカー!」
「は?」

 バンcarの正面にあった杭打ち機がエンジンと共に暴発。道連れ用の最後の一撃がクウハに刺さる──

[DRAW]

──結果、引き分け。

「やったぜ」
「いやテメェの負けだろ」
「じゃあ二戦目いこっか♪」
「次は完膚なきまでに潰してやるぜ」
「おうおう臨むところだ〜っ!」
ゾンビしかいねぇ世界でサバイバル!? Part2
「よう親愛なる暇人共。今日もテキトーにやってくぞ」

 そう言って開かれたのは、ゾンビ蔓延る世界。
 サンドボックス系でありながらも、手持ちの武器でゾンビたちの襲撃から生き残るゲームである。
 このゲームはかなり忠実なもので、食料や水を確保しながら堅牢な家を作り、ゾンビ達の襲撃から生き残る必要がある。
 しかもある一定の日数が経つと「ハイパーゾンビモード」が発生し、大量のゾンビが溢れてくる。
 それに耐えながら生き延びる、サバイバルゲームなのだ!

 ……なお、Part1ではチュートリアルさえもフル無視して活動したため、無惨な結末となってしまっている……。

「前回は無様にも家を破壊され、野に放り込まれたが……今回はそうは行かねえからな!」
「まずは木と石と植物繊維で石の斧をゲット! コイツがあるのとなしではダンチだ!!」
「そして寝袋! こいつがあればリスポーン地点を確保出来る!」

 Comment:家探ししたほうがいいよ。石の斧以外の道具も見つけた方がいい

「おっ、マジか。じゃあまずは街行ったほうがいいのか」
「……街……」

 マップを開けば、真っ白に塗りつぶされた地図。
 自分が歩いた場所以外は真っ白に塗りつぶされる故に、歩かぬ者に提供なしといったところ。

「……ま、適当に歩いてりゃどうにかなるだろ!」
「そのへんにある一軒家とかでもいいんだろ? なら、まずはそこから目指して……」
「おっと、夜か。ゾンビ共が活発になるから、よ~く頭狙わねぇとな」

 Comment:早いところ銃ほしいよね
 Comment:銃見つけて乱射しまくってほしい

「ハッ、焦んな焦んな。こう言うのはゆっくりじっくり、探していくもんだぜぇ?」

 あれよあれよと走り回るクウハのキャラ。
 なお食料ゲージが減り水分を欲するようになったので、それぞれの補給。
 ……泥水をそのまま飲むのは危険だとチュートリアルで教わっているが、今はそれどころではなく。

 そうして見つけた森の中に佇む一軒家。
 結構大きめの一軒家故に、クウハは相応に喜んだ。

「ほら見ろよ! そうこう言ってたら宝の場所だ! ヒャッハァー! 宝探しだぁ!!」

 Comment:あ、でも家入る時には気をつけてね
 Comment:急に穴開いたりするんだよな
 Comment:アレは絶対避けられんだろ

「大丈夫だっつーの、心配しすぎだっt」
「だあぁー!!? なんでそこ壊れんだよ!!?」

 Comment:フラグ回収乙
 Comment:一級フラグ建築士

「うるせぇ!! くそっ、地面に何もなかったから良かったものの……!」
「って、なんだ!? 毒!? いつの間に喰らってんだコレ!?」

 Comment:足元に蛇いるんじゃね
 Comment:クウハー! 足元! 足元ー!

「足元? って、コイツか!!」
「え、コイツ採取出来るのか。肉になる? マジか」
「そう考えると毒ったのはよかった……いやよくねえ! 体力ゲージと食料ゲージの割に合わねぇ!!」
「くそっ……だが入るのに手間はかからなかったと考えよう。そうじゃないと頭の血管、イッちまう」
「さあ、家探し開始だ! 生き残るためには全部掻っ攫えってなぁー!!」

 そうして始まるクウハの家探し。
 家探しによって集まる道具や食料は普段の比ではなく、クウハを強力にしていく。
 ……だがクウハはあることに気がつくのだ。

「なあ、これってもしかしてこの家乗っ取れば最強なんじゃね?」

 Comment:クウハ論ktkr
 Comment:補強とかすればあるいは
 Comment:確かに作るのだるいしな

「だよなぁ! だよなぁ!? いやぁ、流石は俺様、目の付け所が違うってなぁ!」
「さて、じゃあ補強…………」

 ここでふとクウハはもう一つのことに気づくのだ。

 ――補強ってどうやってやんの?? と。

「……ッスー……」
「いや、まだ慌てる時間じゃねえな。うん、大丈夫だろ」

 ちらりと視線をゲーム内日時に合わせてみれば。
 そこに記されるは、次の日はハイパーゲームモードの表記……。

「……詰んだ? コレ」

 Part2 終了
「まさかの客だが手加減はしねえ、本気で遊ぶ」
「親愛なる暇人共〜、今日もゲーム配信やって行くぜ〜。だがぁ……実は今日はゲストがいてな」
「はーい、今日も元気にヴァイス☆ドラッヘ!レイリー=シュタインよ!」

 いつものパーカークウハの横でキラリと光る金髪。そう、現代風に装いを変えたレイリーが隣でコントローラーを握っていた。

>[今日のゲーム代]
>……え?
>白いねーちゃんだ!
>アイエー!?レイリー!?レイリーチャンナンデ!?
 
「俺は冗談のつもりだったんだが」
「こんな面白そうな事見逃せないわよ。ほらほら、今日はどんなゲームで遊ぶの?」
「……コレだよ」

 とりあえず赤スパに礼だけ流しておいてクウハが見せたパッケージはチームを組んでゾンビの蔓延る街から脱出するゲームのものだ。

「へぇ……面白そうね」
「まぁな〜、怖くて泣き叫ぶなよ?」
「クウハがゾンビに飲まれても置いて行くわね」
「助けろよ!?」

>閃いた
>通報した

 そんな会話を交えつつゲーム開始。今回のマップはホテルの屋上から始まるらしい。

「オレは…おっ、チェーンソーがあるじゃねえか」
「私はこのアサルトライフルにするわ。剣がついてて使いやすそうね」

>ブッ込めチェーンソー
>行けるかなぁ
>NPCもおるしいけるいける

「んじゃ進むか。最初のセーフハウスは……一階か」
「何階建てなの?」
「8階だ。ちなみにレイリー、飛び降りたら即死だから気をつけろよ」
「……そんなこと考えてないわよ!」

>嘘だゾ 柵の端っこで跳んでたの見えてたゾ
>かわいい

「ううー!」
「ほらほら置いていくぞー」

 屋上から階段を降りて八階に続くドアを開けるとお待ちかねのゾンビが登場。二人と目があったかと思えば全力で迫ってくる。

「オラオラオラ喰らえやチェーンソーの味はウメェかぁ!?」
「あっははは!思った通り扱いやすいわねコレ!」

>つよい
>ゾンビ達が可哀想ですね…

「この調子で行けば簡単に進めそう!」
「だな。よーし押せ押せ!」

 部屋のあちこちから飛び出てくるゾンビを片っ端からレイリーが撃ち払い、クウハが腹を斬る。そうやって七階六階と進んでいくが…

『Graaaa!!!』
「うおっとぉ!?」

 先を走るクウハが突然変異したゾンビによって吹き飛ばされ、壁に押しつけられる。クウハがカチカチカチコントローラを連打するが効果は芳しくない。

「離せよっ!」
「今助ける!」
「待てそれグレネード」

 レイリーが咄嗟に助けようとするが、手を滑って投げたのはフラググレネード。

> ( ・ω・)っ旦
>オイオイオイ死んだわあいつ
>いい幽霊だったよ

 無論クウハはゾンビ諸共爆死、クウハを蘇生しようにも制圧力が足りずに近づけない。そのままジリ貧でゲームオーバー。

「……うん!ごめんね!」
「おーいー……何やってんだよー」
「まぁほら、次は上手くやりましょ。まだ時間はあるし」
「…だな。隣人ども、チャンネルはそのままだぞ。俺たちの配信はまだ続くからな」

>仕方ねえな
>[あくしろよ]
>がば♡はよ♡

「るっせえ、次でクリアしてやるからな」
「私たちのコンビネーション見せてやるわ…!」

>だめそう
>フラグ満載

 そう宣言したのに二人がセーフハウスにたどり着いたのは1時間後。HPギリギリでの滑り込みだった。
突然だけど探偵になろうと思う【part1】
「よぉ、親愛なる暇人共。今日もテキトーにやってくぞ」
 お決まりの挨拶をし、クウハは配信画面にゲームのタイトル画面を映した。
 いつもはホラーゲームやアクションゲームがメインだが、本日は趣向を変えて推理アドベンチャーゲームの配信である。
「音量は問題ないな? じゃ、今日はコメントみねぇけどネタバレはすんなよ~」
 クウハの注意にコメント欄は【了解】【おk】の文字で埋まる。それを見届けてからクウハはコメント欄を閉じた。


 チュートリアルが終わり、頭の回転が速いこともありクウハはサクサクとゲームを進めていた。初めて挑戦するジャンルだったが、なかなかどうして面白い。
「結構昔のゲームなのにグラ綺麗だよな。こういうドット絵っつーの? 俺、結構好きだわ」
 このゲームは大きく分けて『探索』『推理』の二つに分かれる。
 探索パートでは現場を確認し証拠を集めたり、容疑者のアリバイを確かめ推理パートで犯人を追い詰めるという王道スタイルだ。
 今クウハがしているのは探索パートであった。
『ねぇ……やっぱり本当なのかなあ。あの噂』
『この墓場を荒らしたら呪われるってやつ?』
「いや、そりゃ墓荒らしたら呪われるだろ」
 今回の事件の被害者は墓場で頭から血を流して倒れていた。その為墓場が探索箇所になるのだが、ヒロインと主人公の会話に思わず突っ込んでしまう。
『そんなの迷信だよ。幽霊が怖くて探偵なんかできないよ?』
『うぅ~……そうだけどさぁ』
「幽霊はいるが?」
 自身の在り方が幽霊そのものなので、クウハは口を尖らせた。まさかこのゲーム制作者も本当に悪霊がプレイしているとは夢にも思わないだろうが。
【言い切ってて草】
【まぁ……幽霊だしなあ……】
【むしろ霊能力で解決できそう】
 そしてクウハがコメント欄を見ていないことをいいことに、好き勝手言うリスナー達。
「つーか、寝てるとこ五月蠅くしたら普通怒るだろ」
【ぐう正論】
【草】
【倫理感あるのかないのかどっちなんだよ】
「とにかくさっさと終わらせるか、可哀想だしな。墓場の下の奴等が」
【被害者の心配じゃなくて草】
【被害者『(´・ω・`)』】
【幽霊『やだ……好き……トゥンク……』】

「まず、被害者が倒れてたとこだろ。あっ、なんか擦ったような跡がある。コレ大事な奴だろ絶対」
『公君! これ……』
『ああ、何か擦ったような後だ……何を引き摺ったんだろう? 良く見つけたね、ヒロイちゃん』
「見つけたのは俺様だけどな。あ、後一個だよな、此処で調べるの」
 このゲームは探索パートは易しい難易度になっており、左上のゲージで証拠収集の進捗具合が確かめられる。そしてそのマップでの証拠収集がすべて終わると主人公かヒロインが劇中の台詞にて知らせてくれるのだ。
「待ってろよ暇人共。俺様に掛かれば3分もありゃ余裕で見つけられっから。即推理パートに行くからよ」
【フラグかな?】
【3分で終わるといいな】
【沼ることに一票】
 ご丁寧にフラグを立てたクウハは視聴者の予想を裏切らず、見事に探索で沼りぶちギレることになる。
 結局ブチギレながらも片っ端から探索したクウハが推理パートに行けたのは約一時間後の事である。
 なんならその後推理パートで操作ミスをし、一度ゲームオーバーになって発狂するのは一時間三十分後の事である。


執筆:
乱数には勝てなかったよ…….
「今日はガチャ配信って奴をやってみるぞー」

そう言ってクウハが始めたのはパンドラ・グランドプロジェクト。ガチャ排出率が極悪と名高い有名なソシャゲだ。

>爆死はよ
>炊飯器でお米炊くから待って
>[今日のお小遣い]LEGEND

「虹は有難いがテメェらぁ……俺様がこんなゲームに負けるわけないだろう?」

 さらりと流れるいつものにはさらりと礼を。煽りには買い言葉を。和やかなチャット欄との会話は弾む。

>フラグですねわかります
>軍資金は幾ら?

「見ての通り330回分だ。ま、俺なら初手の十一連で呼べるがな」

 そう言って開いたガチャ画面では、『☆5SSR 謎の司書XX/☆4SR 爆走冷やし饂飩狐PU』が開催中。現在開催中の夏イベントに合わせたラインナップだ。

>おー、謎の司書XX狙うのか
>やっぱこのゲーム誰かに似てる気がする
>おっとそれ以上はいけない

「こいつクソ強えらしいからなあ〜、サクッと当ててお前ら煽ってやろうと思ってよ。いやー、テメエらの負け惜しみが今から楽しみだぜ〜♪」

>は?
>は??????
>デルナデルナデルナデルナデルナ

 まずは様子見の11連。結果は……

「オイ最低保証しか出ねえじゃねえか!?」

 銀色十枚金色一枚。もちろんハズレの非イベントが当選。これには視聴者もニッコリ。

>やったぜ。
>まだ早い
>でも宣言潰したし俺らの勝利では?

「ふ、ふふっ……まだだ、まだ俺には石が残ってるからなぁ、最後まで付き合ってもらうぜお前らァ…?」


二十二連

「だぁぁぁぁ!!」

最低保証


三十三連

「お、お、お──あぁっ!」

虹色すり抜け。

四十四連

「……」

>PUだぞ喜べよ
>草

 爆走冷やし饂飩狐当選。初入手の時のボイスでうどんを食えと押されまくるクウハはかき氷を買った時のように頭を抱える。

「おかしいだろ……」

>残当
>配信者は得てして運が悪いもの
>見事な爆死を期待している

いくらPU対象は☆5の当選率の半分を占めているといっても、そもそもの☆5の確率が低すぎる。クウハの運命力だけでは足りないらしい。

「ルミエール……俺の幸運を祈っててくれ…!」

>最悪だ
>家族に祈らせるのかよ
>こーれは立派なガチャerですよ






30分後。


三百三十連目。


「…………」

 最低保証の金色──☆4SR偏在せし海藻類が当選したところでフィニッシュ。肝心の謎の司書XXは現れず、虹演出は数回あったのに悉くがすり抜けた。逆に運がいいのかもしれない。

>完☆全☆敗☆北
>[ハンカチ代]COMMON
>今日のご飯も美味しかったわ

「ぐ、ぅっ…!」

 この結果には思わず台パン。憎たらしい顔をした海藻類が並ぶ一枚絵を前に、クウハは椅子に背を預けた。

>よしよし
>大丈夫?ガチャ引いとく?
>悪りぃ68連で出たわ
>お前もそこそこ引いとるやんけ

 乱数の女神に嘲笑われた男が、この世にまた一人、生まれおちた瞬間だった。
単発バカゲープレイ「全員死亡フラグを立てるRPG」
「親愛なる隣人共、今日はバカゲーの時間だ。その名も『全員死亡フラグを立てるRPG』!」
 タイトルド直球じゃねぇか! と思わず吐き捨てたが、バカゲー界隈ではこれが日常らしい。
《『全員下ネタしか言わないRPG』とかもありますよ》
《全員●●系って総じてバカゲーに多い印象》
「そうなのかよ……まぁいいや、スタートするぞ!」

 王様の前に勇者が現れる。典型的なスタート演出だ。

『勇者アレンよ、魔王の軍勢が近頃勢いを増しておる……まあこの城が陥没するとは思えんが』
「はい頂きました死亡フラグ……っていうか滅亡フラグじゃねぇか!」
『大丈夫です国王様! この勇者アレンが負けるはずがありません! 返り討ちにしてやります!』
「断定しちゃダメなんだよなぁ!! お前負けるぞ!!」
 いつもの人からスパチャを貰いつつ、勇者の仲間、賢者・盗賊・魔法使い達と会話を進めていく。

『私の計算によると魔王に勝てる確率は100%。問題ありません』
「これ絶対後半で『データに無い!?』って言う奴だろ」
 でしょうね、とコメントは同意で埋め尽くされた。

『僕、この戦いが終わったら幼馴染と付き合うって約束したんだ……!』
「おい止めろ!! 誰かこのコソ泥のガキを勇者パーティから摘まみ出せ!!」
 怒るクウハ。
《幼馴染カワイソス;;》
《帰ってこないフラグですね分かります》

『あ、あのねアレン……私、貴方の事が……ううん何でもないっ。この冒険が終わったら伝えるからっ!』
 明らかに勇者に惚れているような魔法使い。
「あーこれ途中で死ぬわ。俺は最後に何人で戦う事になんだよ!!」

《一人じゃね?》
《ぼっち草》
《この調子だと魔王も死亡フラグ立てるな》

「まあしょうがねぇ! 行くぞお前ら! 途中で死ぬな――そんな序盤に死ぬ奴がいるかぁぁ!!」
 盗賊が早速スライムにやられた。イベントで強制退場である。
《スライムってw》
《どんだけ弱いんだよ盗賊》
「まぁ装備代が浮いたから良かったけどな!」
 現実は非情である。その後も続々と死んでゆき、中ボスも四天王もフラグを吐いては様々な理由で倒れていく。

『アタクシの炎魔法が自爆なんてありえな――』
『良くぞここまで来た。だがこの罠を踏めばお前は即座に――カチって今言ったがもしやワシ今』
『僕は最強! 究極――』
『こんな四天王の一員で居られるか! 俺は止めさせてぐあぁっ!!』

「全員馬鹿すぎんだろ……魔王はどんなフラグだ?」
 クウハが見たのは、魔王がジュラルミンケースを出す姿。
『金ならいくらでもある! どうか命だけは!!』
「はぁぁ!?」
 クウハは思わずコントローラーを投げたのだった。
執筆:椿油
タンスごと盗めるゲームで遊ぶ【Part1】
「親愛なる隣人共。今日はタンスも盗めてしまうローグライクゲーム『ぺろな』で遊ぶぞ」
 早速期待のコメントがスパチャと共に飛んでくる。
《タンス以外に命も普通に盗みそう》
《囚人プレイしてくれ~》
「期待されてるな! やってやろうぜ囚人プレイ! まぁその前にキャラメイクからだが、俺様は盗賊を選ぶ」
 クウハは即座に職業に盗賊を選んだ。ちなみに種族は力持ちそうな物を選んでいる。
《スリスキル持ってますからねー》
「この組み合わせなら戦闘力も高いからな、最大所持重量は重めになるようリロールして強い武器も盗品も全部持つぞ」
 なお、リロールの際に共に変わる年齢などは無視である。いいじゃないか39歳の盗賊だって。
《ピアノは?》
「あんな重たいの持ってたら盗品が持てねぇだろ!」
 演奏スキルの投げ銭で稼ぐより盗んだ品を売って稼ぐプレイをしたいらしいクウハ。

「よし開始。まず料理スキルを手に入れなきゃな」
 街に落ちている食べ物を拾うにも限界がある。ゲーム内の依頼をそこそここなす必要があるが、まずは簡単なガラクタを納品する依頼からやっていく。
「何でコイツ割れた植木鉢欲しがってるんだ? まぁいいか、オラ金とスキルポイントと持ってる物全部寄越せ!」
《強欲w》
《まだ命は取らない優しさ》
「ハッ、命を寄越してもらうのはガードを倒せる強さになってからだな!」
 向上心を感じられるその発言にスパチャがまた飛んだ。

 そしてようやく料理が覚えられた所で、戦闘もこなして行く。
「敵が落とした肉? 食用じゃなくて捧げる用だな」
 このゲームでは神に肉を捧げると信仰ポイントが上がって恩恵を得られるのだ。
「もちろんこのプレイ用に盗賊にメリットのある神選んだぞ」
《ああ、あれねw》
《とことん器用と筋力上げて行くスタイル》

 レベルアップと肉確保の為に洞窟に何回も潜るクウハ。

「……コイツ強いんだよな、逃げるか……あっ来る!! 来る!! あーーーッ!! い、1残った……!! よっしゃあ!!」
 攻撃されながらも体力ギリギリで逃げられたので即座に街へと移動する。すると、残念な事に移動途中で山賊が現れた。
「持ち物全部置いてけだぁ!? 今体力1なんだよ!! 鑑定して高く売りたい品が山ほどあるのに!!」
《デッドオアロストですなあ……》
《降参した方がよくね?》
 コメント欄は悲観的な意見が目立つ。
「よしじゃあここで俺が逃げられる確率に賭けるぞ。幸いそこまで敵の数は多くないしレベルもこっちは上がってるんだ!! せーので逃げるぞ!! せーの!!」

 ――遺言は?

「畜生……何で一人だけ素早いんだよ……」
 見事に倒されたクウハ。
《どんまい(´・ω・`)》
《でもこれ知識あるとはいえ初見でしょ? よく頑張ってると思う》
「くっそ……とりあえずデスペナ込みで復活したは良いが……何持ってる? 生肉と未鑑定の品があれば最悪生きていけるからな」
 荷物を確認した。モンスターと山賊からの逃走中に肉含め食べ物は全部腐っていた。

 街に到着すると、街に置いてある食べ物を貪るクウハ。ゲームの中の自分は捧げる用の肉どころか食べ物が無いまま強行移動したせいで、腹がペコペコで餓死寸前である。

「肉があと一日持てばなぁ!! まぁいい、鑑定品で稼げた。次回を楽しみに待てよ!」
執筆:椿油
悪霊が犯罪都市で暴虐の限りを尽くす#1【初見プレイ】
「よぉ、親愛なる隣人共。今日のゲームはこれだ、『GTG5』」
 『おおー』のメッセージが一気に沸くコメント欄。なお、GTGとは「グランド旅人が如く」の略である。

「早速スパチャありがとよ、ってか金スパじゃねぇか……生活切り詰めてるんじゃないだろうな? 金は大事にして生きろよ」
《ナイスパ!》
《これって何するゲーム?》
「簡単に言えば犯罪が出来る悪い奴になれるゲームだ。良い子は見ない方が身の為だぞ、ってもう高評価100超えてるじゃねえか!」
 クウハに悪ムーヴを待機していた視聴者は多い。

「じゃあ、とりあえずこの白いスーツの男の武器を調達してこようと思う。名前は『苦受覇』だ。今決めた」
 乱暴に車を乗り回し、武器屋に直行する最中にも何人か……轢いていた気がする。
「おっと、初っ端から手配度上げちまったか? まあいいか、一番良い武器寄越せよ店主。……ん、大丈夫だ問題ない」
 コメント欄からそれはフラグではという声が聞こえて来た気がする。
「さーて最初の任務はこの黒スーツの偉そうな奴の護衛だな。これ位簡単ですよ苦受覇にお任せあれ――あっやべぇ建物につっこんじまった、何でこんなに操作感度悪いんだよこのゲーム!!」
 ゲーム内では、遠くからサイレンが響いてくる。
「やべぇな……いや、あのサイレンの元見て見ろよ。真っすぐ走って来てるから絶対走りやすい車に違いない」

《それはNPCが運転してるからではw》
《操作性能の評価低いからなぁこのゲーム……》
《少し高いけど後で良い車貰えますよー》
 コメント欄から有益なアドバイスが貰えているうちに、苦受覇がポリスメンと撃ち合いになっていた。
「よし、こっちに移動して護衛再開だ! まさか誰もこの車に極悪組織の親父殿が乗っているとは思わねぇ……だ、ろってサイレンの音増えてる!!」
《因 果 応 報》
《が、がんばれー?》
 コメント欄に応援と同情の声がいくつか通っていった。
「はいいつもの人からナイス金スパ~って今金スパ送るんじゃねぇよ!『頑張って逃げ切って下さい』って読み上げてる場合じゃねぇんだよ! クソ! 追いつかれる!」
《ナイスノリツッコミw》

 そして、ようやく車をまいて護衛先に届けた苦受覇。
「はぁ、はぁ……序盤でこれ以上手配度上げるのはヤベェから地道な仕事しとくか……」

 その後も、地道な仕事が続く。が、仕事を数件こなした後。
「んー……、そろそろ手配度上げますかァ!!」
 再びコメント欄が沸いた。
「やっぱ上げないとつまんねェ、武器もロケラン仕入れたしやり返してやろうぜ! はいスパチャありがとな! じゃあ行ってくるぞ!」

 そして、次なる仕事はまたも護衛。
「お、序盤で上げた手配度で既にサイレンが聞こえてくる――後ろに向けてファイア!! どうだざまーみろ。ん? ヘリも来たな……ファイア!! ファイア!! オラオラ海上からも来やがったな、ファイアファイアファイアァァ!! げっ、弾切れ……!」
 最早、護衛対象を無視して武器をぶん回していたら、護衛対象がやられて任務は失敗した。
「あっ」

 コメント欄は急に静かになっていった。
「まぁこれ位が楽しいってもんよ……あっ金スパありがとうございまー、ってさっきから同じ奴だな!? 生活大丈夫かよ、じゃあ今日はここまでだな。お前ら、きちんと生きろよ!!」
 ~配信は終了しました~
執筆:椿油
60分で寿命を迎えるゲームで寿命まで生きるチャレンジしてみた
「親愛なる隣人共、今日は60分で寿命を迎える原始的な世界が舞台のゲームで遊ぶぞ。ルールを簡単に言うとランダムな場所に生まれて、1歳につき1文字喋れるゲームだ。だから最初は『飯』か『乳』ってご飯ねだらねぇといけねぇ」
《懐かしいゲームですねー》
《クウハさんの乳が見られる……!?》
「おい、何期待してるんだ? 飯に決まってるだろ! どうしても乳って言って欲しいんだったら高評価寄越せよな」
 そして輝く幾多もの高評価。
「――ッ、分かったよ! じゃあ乳って打つから! ホラスタートスタート!!」

 半分投げやりに原始時代に生まれたクウハ。早速母親が近くに居る。

「『乳』っと」
 母親がそれに気づいてミルクを飲ませてくれた。
「あー、早く大人になりてぇ……」
 操作感を覚えながら、そうこうしているうちに2分経過し3歳になるクウハ。
「この集落で俺は何をすればいいんだ? 『何やる』って言ってみるか」
 すると、『武器作って』と他の原始人から返って来る。マルチプレイなので人手が欲しいところだ。
「えーと? 棒と石をくっつけるんだったか、よし出来た。地面に置いときゃいいだろ」
 そして、誤操作で他の原始人を武器で攻撃するクウハ3歳。
「あ」
《うわあ》
《待って相手武器持ったw》

「いや、誤操作だから! 俺初心者だから!」
 慌てて『悪い誤操作』と打とうとする、この間に1分が経ちクウハ4歳。文字数が足りない。
《『間違えた』でどうですか?》
「ああいいなそれ――いや攻撃してくるんだけどコイツ!? あーそうか分かった、反論の時間すら子供に与えてくれない大人はこうするしかねぇよなぁ!?」
 こうしてバトルが始まった。周りの原始人達は、『やめなよ』やら『何してるの?』やら言いながら、食料を収穫している。
「こうなった以上引き下がれねぇな!! 4歳児を怒らせたらどうなるか後悔させてやる!!」
 思いっきり攻撃してきた相手を連打して攻撃しまくる、この間に1分が経ってクウハ5歳。そして、相手がまさかの先にダウン。というより死亡である。

「はぁ、はぁ……どうだ、参ったか……」
 ――超高速連打をして得た物は、栄光ある孤立であった。
《お疲れ様です……》
《話を聞かないのが悪いよね~w》
《スパチャやるから元気出して》
「お、ありがとよ。ところでさっきから誰も近寄ってこないんだけどどうすりゃいい? あ、そうか武器降ろせばいいのか」
 今度は間違いなく武器を地面に落としたクウハ7歳。食料を取りに行く。
「俺の食料……ねぇな。『食べ物ある?』って聞くか」
 聞いた途端、他の原始人は逃げ出した。

「え? 何だよこれ、村八分?」
 コメント欄からは涙を流す顔文字やらスパチャが飛んでくる。
「俺は悪くねぇって!! 悪いの攻撃してきたアイツだからな!?」
 そんな長文は打てないクウハ8歳。
「食料寄越せよオイ!! このままじゃ餓死するだろ!!」
 しかし、自分の分だけ持って逃げる原始人達。

「あー、分かった。そうか、寿命を迎えるすら生ぬるいか?」
 再び武器を持って、逃げる村人に襲い掛かるクウハ9歳。
《怖ww》
《逆効果やん》
「食料寄越せぇぇぇ!!」
 が、結局食料を手に入れる前に餓死を迎えた。クウハ10歳、ここに眠る。

「……はーい反省会開くぞ。悪いのは俺じゃねぇ。以上だ!!」
 誤操作すら許されない世界、恐るべし。
執筆:椿油
人生をギャングの道に費やすシミュゲー実況 Part1
「親愛なる隣人共、シミュレーションゲームの実況の時間だ。人生ゲーム? 惜しいな、『シミュレーションズⅣ』だ!」
《クウハさん悪党系の職業選びそう》
《シミュレーションズⅣ待ってました!》
「おっと早速のスパチャありがとよ、金は大事にして生きろ。さてシミュと呼ばれる人間を動かしてキャリアを積ませる訳だが、そう! お前らの想像通りギャングのキャリアを選ぶ! ちなみに成人スタートで老衰しない設定でいつまでもギャング出来るぜ!」
《88888》
《楽しみーw》

 という訳で、キャラクリエイトをささっと済ませたクウハは仕事を探す為に適当な家に住ませつつ、ゲーム内のパソコンを弄らせる。
「いたずらのスキルを伸ばすと、掲示板荒らしたりスリしたり出来るらしい。という訳でまずはいたずらを習得するか」
 ギャングのキャリアに就いてもまだ下っ端の下っ端だ。通行人のお姉さんにいたずらのアクションを引っかけて、いたずらスキルをここで初めて習得する。
《習得乙ですー》
《早速掲示板荒らす?》
「まぁ待て、通りがかりの人全部にいたずらしていってスキルを伸ばしてからだ。トリックオアトリック! 悪戯かトリックか驚かされるかを選べそこの野郎共!」
 ちなみにこれは秋の配信である。

「さて、いい感じにスキルが上がったんで一日の殆どを掲示板荒らしに費やすか。勿論食事とトイレと風呂も忘れずにな! 夜更かしは禁物!」
《良い子じゃんw》
《トイレと風呂はともかく夜更かしも駄目なんだ》
「あ? 夜更かしするとステータス見てみろ、これのパフォーマンスが落ちて次の日の活動がし辛いんだよ。他の配信者の見て覚えたから抜かりはないぜ」
 という訳できちんと夕食を作って食べて風呂に入り、寝る前にトイレに行ってから規則正しく就寝したクウハのシミュ。

「二日目だ、おはよう。すっかりいたずらスキルが伸び……以外に料理スキルも覚えてるな」
《自炊したからでは?》
 そしてゲーム内では今日も掲示板を荒らす。次の日も荒らす。途中で金スパが飛んでくる。
「『クウハさんが暇にならないようにスパチャ投げときますね』じゃねぇよ!!」
 そうクウハがツッコミつつ、ようやく掲示板荒らし以外の事が出来るようになってきた。
「お、スリが出来るようになったな。とりあえず手あたり次第にスってみるか?」

 なお、手配されたりする事は無いがバレないようにやれるかはクウハのシミュ次第だ。
「よし成功、何か良さげなもんあったか……50シミュオリオンぽっちじゃねぇか!!」
《少なくて草》
《ほらきっとお金を持ち歩かない人なんだよ……》
「まぁともかく、ギャングまで道は遠い。何遍も何遍もスってスリまくるぞ」

 途中でキャリアの昇進に必要な目標が提示されたので、それに向けていたずらスキルをどんどん上げていく。
「もうちょっとだな……これ、スキル本みたいなのはねぇのか? タブレットで調べるか。……お、あるじゃん」
 いちいちスリを実行しなくてもいいので、最後はそれでスキルを上げる事にしたようだ。
「よっしゃ! 昇進!」
 スパチャと拍手のコメントが飛んでくる。
「よし、つまんない作業はここまでだ。ここからはマジモンのギャング見せてやるよ。じゃ、良い子は寝ろよ!」

~配信が終了しました~
執筆:椿油
【BS6】分隊長になって戦に勝つゲーム #1【コラボ配信】
「親愛なる隣人共、今日はFPSゲーム『Battle Stage 6』の時間だ。今日はゲストとして一人フレンドを呼んである!」
《おおBS6です?》
《楽しみ~》
《フレンドさんFPS経験者?》
「正直未知数だな……おーいマイク繋がってねぇぞ永遠!」
「はいはーーい! 深海・永遠だぞー! なーこれどれで撃つの? この赤いボタン?」
「後ろのデカい押し込むボタンがあるだろ、それがデフォルト設定だ」
「んーオレ何したらいい?」
「とりあえず援護物資配る係やっとけ。配るだけで皆喜ぶからな」
 
《心配w》
《初心者かな?》

「初心者か、だと」
「えっとなー、水鉄砲は上手いってばっちゃがゆってた」
「お前の婆さんっていくつだよ。永遠確か200歳と少しだろ?」
「不特定多数の誰かが言ってた時はばっちゃがゆってたって言うと良いってばっちゃがゆってた」
「つまり全部誰かが言ったって訳な……ステージは砂漠で、全セクターを取ったらいいルールにしておいたからな」
「じゃーオレセクター護っとくからクウハ攻めとけー! えーと物資配るの何ボタン?」
「あーもう十字ボタン左やってから赤いボタンだよ!!」

 やや不安な掛け合いがありつつも、いざ戦場の攻略が始まる。

「まず俺がAを取るから、そこを護っとけ。分隊長は俺で同じ分隊だから、命令を守ればボーナスが入るぞ」
「おっし! クウハ隊長の命令全部こなすかんな!」
 そう言いながら誰もいない所に物資を配る永遠。
「もっと真ん中で配れよ!」

 そしてAを占拠すると、クウハは次なるセクターBに向かう。
「おっあの赤いマークのやつ敵!? クウハーオレどうすりゃいい!? 物資!?」
「自分で撃つなら武器持ち換えるボタンは緑だ!! そうでなきゃ物資配っとけ!!」
「わかった! オレも撃ちたい! えーと緑、緑」
「そうしたら撃つボタンだ、それは言ったから分かるよな!」
「後ろのやつ! あ、味方に連射しちゃった ごめんなーかゆい?」
《かゆいww》
《味方とはいえ死ぬ勢いだぞ今のww》

「はいいつもの金スパありがとな、お、永遠宛にもスパチャ来たぞ。『フレンドさん頑張って下さい!』だとよ」
「やった! ありがとー!! 頑張って物資くばる!!」
「……もっと撃ってもいいんだからな? あ、B取ったから次はB護れ。Aは充分仲間がいるしな」
「わかった! ……ダッシュボタンどれ?」
「移動ボタン長押しだ、っていうかキーコンフィグぐらい見とけよな!?」
「オレ普段ゲームやらないからキーコンフィグ? ってゆうのどこだかしらない」

 人選ミスったか……とこの時クウハは思っていた。

「視聴者向けに説明するが、コイツ200ウン歳とはいえあくまで脳筋タイプだからな。ゲームみたいな緻密なのは得意じゃなさそうだな……」
「えー、さっきヘッドショット? って出たけどなー?」
「マジかよ」
「あと後ろ向いてる敵に適当にボタン押してたら格闘キルってゆーのも出た」
「……マジかよ」
「あとまだ一回もオレ倒れてないぞー」

《実は上手かった疑惑w》
《初心者でヘッショも格闘キルも凄いです!》

「そうだな、化けるかもしれねぇ……」
「尾ヒレならずっと出してるけどなー」
「違……ん? 今も出してるのか?」
「うん」
「マジかよ」

 今日はカオス回であった。
執筆:椿油
完凸するまで終われないガチャ配信#15
「親愛なる隣人共、今日も完凸するまで終われないガチャ配信をやっていくぞ」
 クウハの声はいささか疲れているように見えた。
《15回目かー渋いね》
《お疲れ様です!》
「金スパありがてぇ……この時だけはスパチャありがてぇ……よし! それじゃあ早速引いていくぞ!」

 クウハがどうしても完凸させたいキャラクターは「黒猫の幽霊」という通り名で、どことなく共通点を感じているので何遍も何遍も完凸させようとガチャ配信を続けているのだが――そう、レアリティが高くて出ないのである。

「せめてあと1凸でいいからさせてぇんだよな」
 既に14回の配信中に1回は引けていたので、運が全くないわけではない。
「ピックアップ来ないんだよなぁコイツ!! 運営仕事しろ!! じゃあ十連一回目」
 虹色に光って――違うキャラが完凸した。
「コイツじゃねぇよ。もうお前は何度も引いてるんだよ」
 ガチャの神様が物欲を違う方向に勘違いしているのかもしれない。

 とりあえず「お前じゃない!」と呟きながら限界突破を完了させ、二十連目。
「おっ……おおっ!?」
 黒猫の――配達人! 別キャラである。
「コイツじゃねぇぇぇ!! 確かに黒猫だけれども!! パーティメンバーだけれども!!」
 このゲーム、黒猫統一パーティを作れるほど黒猫は沢山いた。

《違うところで運使い果たしてるなw》
《ガチャ代どうぞ》
「お、おうありがとな。それじゃあ三十連目、いくぞ!」
 出ない。★3以下である。
「よしこいつらは溶かして四十連目!」
 出ない。★4が一人、有志によると使い勝手はDランクだ。
「こいつは……溶かす! 次、五十連目!」
 出ない。
「六十連目!」
 出ない。
「七十連目……」
 以下略。

《ほんと出ないなぁ》
《これ終わるかなw》
「絶対終わらせてやる。よし、八十連目だ……!」
 金色に光り……虹色に光り……まさかの虹色がもう一つ光り……。
「こっ……これは来るか!?」
 黒猫の配達人が二人――完凸!
「お前じゃねぇってのぉぉぉぉぉっ!!」
《wwwwww》
《ワロタwww》

「ったく、このガチャ本当に出るんだろうな? 九十連目いくぞー」
 無の感情で回す九十連目。金色で止まって……まあ、出ないだろう。
「それじゃあ百連目。そろそろ出てくれよ!」
 金色に光り……虹色に光り……更にもう一個虹色に光って……。
「さっき見たなこれ」
 黒猫の! 幽霊が! ふ! た! り!!

「でっでたああぁぁぁぁぁぁ!!」
《おめでとうございます!!》
《しかも二人!》
《今夜は祝杯だね!》

「ちょっちょっと待て待て待て、理解が追いつかねぇ、スクショしていいかこれ」
《どうぞw》
《排出率狂っとるこのゲームw》
「よしスクショ完了……スーハー……よっしゃああああ!!」
 思いっきり大声で叫んだのち、しっかり凸ったクウハ。
「しかし完凸には至ってねぇな! まあ2凸しただけでもかなり能力上がるしな。よーし祝杯上げながら百十連目いくぞ!」
 飲み物片手に回す百十連目。黒猫の幽霊が一人出た。

「んー黒猫の幽霊だけ……は?」
《出てますよ!!》
《出てる出てるww》
「お……お前……! 油断した時に来てくれやがって……!」
 クウハの手がワナワナと震えていた。
「よし!! 残り1回で完凸だ!! 回すぞオラァ!!」

 その後黒猫の幽霊が出る事は全く無かったが、今回は神回として自他共に認定できるであろう事は間違いなかっただろう。
執筆:椿油
クウハの大冒険
「親愛なる暇人共〜〜〜☆我だぜ♡」
>誰だお前は!?
>[きゃ〜〜!幸潮〜〜!!」
>あとで面貸せ
>[今日のお小遣い]
 配信開始──と同時にキラッキラエフェクトと甘ったるい声でキャピッて挨拶手番を奪ったのは白藍髪の女──夢野幸潮。予期していたクウハは速攻で席にまで引き戻す。
「お前もか幸潮カメラ近えよ」
「HAHAHA、テンプレだからね、仕方ないね」
「はァ……で?今日はやって欲しいゲームがあんだよな?」
「おう。もうお前のPCにインストールしてあるからクリアしな」
「嘘だろ」
 タイトルは──そう、『クウハの大冒険』。AAの二等身になったクウハを操作するアクションゲーム。
「100デス以内にクリアしたらなんでもしてやる」
「……は?」
>なんでも!?いいの!?
>座ってろ
>そのデータ寄越せ
「だから文字通りなんでもな。あとコメント……ちょっと黙ってて」
 興奮気味のコメント欄をセーブ。反応があるのは嬉しいが本題が進まないので。
「ハッ、この俺を舐めるなよ?クソゲーも鬼畜ゲーももちろん神ゲーもクリアしてきたんだ、今更テメェの用意した雑魚ゲーに負けるわけねェだろ?」
 クウハはそんなこと時にせずカッコつけてニヒルに笑う。
「丁寧丁寧丁寧なフラグ建築頂きました」
>この先の展開が読める
>全てを察した
>シークバーどこ?
「ァァァァ視聴者共見とけよ!さっさとクリアしてコイツにギャフンと言わせてやるからな!」
「フラグ・モニュメント追加発注入りまーす」
 愛用のコントローラーを握りしめゲームスタート。最初は床のトゲを動く足場に乗って向こう側にある[←深緑]と書かれた足場に移るらしい。
「こんなもん簡単だろ」
 まずはジャンプ。次に着地。からの飛び出すトゲ。そしてティウンティウンティウン。
「はいワンデスね」
「ハァァァ!!??」
 初見殺しでも容赦なく増えるデスカウンター。現在1。
>理不尽で草
>[応援してる]
>ふれー!ふれー!幸潮倒しちゃえー!
「チッ……!」
 追加で四人ほどクウハが死んだもののここは突破、向こう岸に到着。
「先が思いやられるな」
「言ってろ、もうこのゲームには──」
 親方!空からトゲ天井が!
「──だぁーーっ!!??」
「これで6回死んだな」
>ひでぇwww
>あらら
>嘆いてるクウハおもろ
 素直に看板に従うのは罠。なにも考えず進めば上から即死。そして最初からだが…クウハ、ここで気づく。
「そういやこの下のトゲ、上がってからしばらく残ってるよな……」
「ほう?」
 面白そうにニヤつく幸潮の顔にクウハは確信を得た。
「先に進むのは罠だ…正解はこの下ァ!」
 足場に触れてトゲを出し、隙間に入る…
「ッしゃあ!」
 …と現れたのはしゃがみ待ち卮濘。
「は?」
 ( ☆-☆)bのAAになった卮濘は当然の権利のように魔砲を放った。
『かかったなアホが!』
 そしてクウハは死んだ。
「あ"あ"あ"ん"の"野"郎"」
「ウッキウキで実装してたぜ。ちなみに"ここは"向こう岸から行けば抜けられる」
「それくらい見りゃわかる…!」
 死ねば学習する。向こうに辿り着いてトゲの裏に落ちて…魔砲を回避!
「よしセーブだ!」
 からの追撃神風エクスプロード。クウハは死ぬ。
「クソゲー!」
「ほれ、さっさとクリアしてみろよ、雑魚♡」
「絶対泣かすァ!!」
【MR】モンスターをハントするゲーム#20【コラボ配信?】
「親愛なる隣人共、今日は『Monster Rising』をやっていくぞ」
《待ってました!》
《クウハさんのMRシリーズ好き~》
「はいスパチャどうも。んで今回は最近始めたっぽいフレンド呼んであるんだが……正直コイツの中の人俺にも分かんねぇんだよな」
 コメント欄が「は?」みたいな文字列で並ぶ。
「どいつの特徴とも当てはまらねぇっつうか……とりあえずクエスト貼ったから行くぞ! 中の人誰だか分んない奴!」
《ボイチャは?》
「向こうがオフにしてんだよなぁ~」

 期待の新人のフレンドは、強い装備で身を固め、ピシーン! とアクションを決めてから相棒の狼に乗って、クエスト対象の竜のいる場所まで駆けていった。
「アクションは使えるっぽいな、それじゃあお前の狩りを見させてもらおうか!」
 現場に到着したクウハと謎フレンド。早速抜刀して竜を切り刻んでいく謎フレンド。
「おっ、こっちのアクションも出来る方じゃねェか。……何か適当にボタン押してるようにも見えるが」
《誰でしょうね?》
《実は俺ですww》
《嘘乙》
「当てたら褒めてやるよ」

 そして、ある程度ダメージを与えたら崖の上に逃げていく竜。すると、フレンドからテキストでコンタクトが来た。
「のぼれない」
「は? 何でだよ」
「うまくできない」
「マジかよ!?」
「はやくのぼって やくめだろー」
「典型的な地雷ムーヴするんじゃねぇ! っていうか、もしかしてお前のハンドルネームの『真紅』って――」
「へんかんまちがえた」

 そう。最初から上手くやったように見えてその実適当にやっていた彼は。
「しんかいってうとうとしたんだよなー」
「永遠じゃねーかァァ!!」
 何故か強い装備を携えた深海・永遠であった。
「ぼいちゃのぼたんわかんねごめんなー」
「ッ……まあいい、向こうの道からでも行けるから遠回りしてこい!」

《判明して良かったですね!》
《この前のBS6の人ですか!?》
「ああそうだ、多分野良に混じって何とか装備を強くしてきた永遠だ違いねェ!」
「こまったらきゅうなんしんごうってばっちゃがゆってた」
「ホラ永遠だろ! どう見ても永遠だろ!」
《永遠さんだww》

 片方はボイスで、片方はテキストで喋っている為若干のラグは生じているが、何とか弱り果てた竜を巣まで追い詰めた二人。
「さて永遠! 罠仕掛けて捕獲してクエストクリアだ、やり方分かるな?」
「爆弾を置きました!」
 定型文と共に置かれる大きな爆弾。
「……まぁ狩猟でも良いっちゃ良いクエストだが、捕獲クエストでそれやるなよ?」
「やったらおこられた」
「ったり前だ。んじゃ、最大級の攻撃で起こしてやろうぜ――この竜をなァ!」

 永遠は大きな剣を最大限までチャージし、クウハは遅れて爆発する弾を撃つ。永遠の剣戟、クウハの爆発と共に爆弾が爆発し、永遠は大きく吹っ飛んだ。そしてそれと同時に出るクエストクリアの文字。

「よっしゃ! 上手いじゃねーか永遠!」
「お疲れ様でした!」
「……定型文かよ」
「またやろうなー!」
 帰還寸前、遅れてやってきた文字を見て、クウハはフッと笑った。
「おう、また狩りに行こうぜ?」

 帰還後の事。
「永遠のランク90止まりじゃねーか。折角だし上限解放クエ手伝ってやるよ」
「わーいくうはだいすきー!」
 まだまだ配信は続く――。
執筆:椿油
クウハがお料理をするようです
「親愛なる暇人共〜、今日もゲーム配信やって行くぜ〜。タイトルは『きっちんしみゅれいと』。何故ひらがななんだ?」

>\[今日の晩御飯代]/
>しらね
>可愛くていいじゃない
>また高額スパチャ流れてる……

 可愛いフォントと、それに反比例するように荒れているキッチンのオープニング画面を開いてクウハは言う。なんだよこれと。

「レシピに則って料理を作ればいいんだな。ならまずは簡単そうなオムライスにするか」

>ハート書いて♡
>[卵と鶏肉ならあるからお米は炊いておくね]
>簡単か……?

「……食べたいだけだろ。んじゃ始めるぞ」

Recipe:オムライス
難易度:★☆☆☆☆

Step1:食材を切ろう!

「食材をまな板に載せて切るだけだろ?さっさとやるぞ」

 手を操作して、肉を握る。うなぎが如く手を抜ける。べちょっと地面に落ちる。

「うぉっ!?」

減点:食材を地面に落とした

>はい
>マ ヌ ケ 顔
>ちょっと萌えたかも

「オイなんだコイツの手!?うわしかも鶏肉切った扱いになったんだが!?」

>ママがやっておくからね!
>ちげーやつww
>草

 ──この『きっちんしゅみれいと』は所謂クソゲーり料理を作るための物理演算が悉く狂っている。例えば先程の鶏肉であれば生肉ならではの滑りがツルッツルになっていたり。玉葱を切りまな板に当たった衝撃で玉葱の一部が吹き飛んだり。足を引っ張られた末赤点でStep1を突破した。

>おつ
>NKT
>まだ始まったばかりなんだよなぁ

「ぜぇ……ぜぇ……次は……んだよ…!」

Step2:卵を焼こう!

「卵か。卵なら余裕だ──お?」

 慣れてきた手の操作で掴みにくい卵を取得。シンクに叩きつけるが……割れない。全く割れない。音だけはするのに卵の殻にヒビが入らない。

「こんっの……割れ……ろっ!」

>いっけぇー!
>割れぇぇ!!
>料理ってなんだっけ

 そして、渾身の力を込めた一撃が卵に叩き込まれ──!

減点:卵をボウルに出さなかった
減点:卵をうまく焼けなかった

Step3:チキンライスを炒めよう!

「………」

>知ってた
>次のStepになっちゃったね……
>ざぁこ

「……チッ、次だ。次はフライパンに入れるだけだな」

 ゲームに指示された通り玉葱やグリンピースなどの野菜と、勝手に切られた鶏肉を入れて……炒める。

「おわっ、ぶねぇ……飛び散りが強すぎる」

>まるで中華料理みたいだぁ……
>火力ないのに派手なの面白いなw

 三日月のように跳ね上がる具材に翻弄されながらも、クウハはひとつたりとも落とさぬよう慎重にフライパンを振るう。今作っているのは本当にチキンライスなのだろうか。

「ここで米とケチャップを投入……っ!」

>増えた…が?
>おお、今度は失敗しなさそうだ
>美味しそうね!

 そのまま減点なしで炒めゲージを満たし、皿に盛ってStepクリア。

Step4:完成させろ!

「焼いた覚えのねえ卵があるなァ……」

>なんでやろなぁ
>美味しければヨシ!
>くわせろ

 時間跳躍してきた卵焼きをチキンライスへと無事装備完了。完成ボタンが出現した、が。

「もう完成できる……が、それじゃつまらないだろ?」

 クウハはケチャップを持ってお絵描きを初め──。

減点:キッキンを汚した(大)

>草
>真っ赤だね♡

オムライスの完成!
評価:-30点
もう一度頑張ろう!

「──クソゲーじゃねえか!」

クウハは、キレた。

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