PandoraPartyProject

幕間

ぽんこつホムンクルス

関連キャラクター:アッシュ・ウィンター・チャイルド

ある暑い日の話
 それはそれは暑い日のことで、アッシュの手の中には冷たくて細かい氷の山があった。良ければどうぞとキャンペーンとやらで街中で配られていたもので、早い話がかき氷である。もちろん、山のてっぺんには緑色の甘いシロップがかかっている。色は好きなのを選んでいいといわれたので目についたものを選んだ。
 アッシュの周囲では老若男女を問わずもらったかき氷を食べては頭を抱えている姿が散見される。
 何故だろうか、これは危険なものなのか、一瞬頭をかすめるがしかし、危険であれば食べることはないのだろうと思い直す。
 意を決して一口食べてみる。冷たくて甘くてとてもおいしい。なるほど、こんな暑い日に人々が食べるわけだ。

 もぐもぐ、シャクシャク。

 ついついスプーンを持つ手が進む。冷たさを堪能していると急にキーンと頭に痛みが走った。
「いた……痛い、です」
 思わず頭を抱えてしまえば同じように頭を抱えてしゃがみこんでいる男性と目が合った。
「嬢ちゃんもキーンときたかい? 一度に食べすぎるとこうなるから気を付けるんだぜ、イテテ」
「なるほど、よくわかりました」
 これから気を付けようとアッシュは思う。が、それはそれとして見ていたならもう少し早く警告してくれてもよかったのに、と思わなくもないのであった。
執筆:心音マリ
ちょっとドジを上回る素敵なこと
 日用品の買い出しに来ていたアッシュが不意に足を止める。
 彼女が見上げる先にはキラキラ光るランプが鎮座していた。
 尖った先端の下、モザイクガラスが何とも言えない不思議な模様を描くトルコランプ。
 もう少し近くで見たくて、それらを見つめながら歩き出す。
 色もそれぞれ個性があって美しいそれに見とれてぼうっとしていると、つんと靴先が何かを掬ってしまう。
 あ、と思った時にはアッシュは後ろへ引っくり返っていた。
 絨毯の長い毛に足を取られて転んでしまったのだった。
「お客様?! 大丈夫ですかっ?」
 慌てて店員が飛んできて、アッシュを優しく抱き起こす。
 当のアッシュは恥ずかしそうに大丈夫です、と答えるので精一杯だ。
 店員に手伝って貰いながら、落とした荷物をまとめ、改めてランプを見つめる。
(すごくキレイだけれど……今日は荷物がいっぱいだから辞めておきましょう…………)
「すみません、ありがとうございました。……あの、また来ても、良いですか?」
「ええ、もちろん。お待ちしてますわ」
 助けてくれた店員にお礼を言ってアッシュは店を後にする。
 ちょっとドジを踏んでしまったけれど、おかげで素敵な店を見つけられたからだろう。
 アッシュの足取りは軽かった。
執筆:桜蝶 京嵐

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