幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
ふわふわ犬日和
ふわふわ犬日和
関連キャラクター:アレン・ローゼンバーグ
- 犬のオークション会場にて
- アレンが街を歩いていると、人だかりが目に入った。なにやら柵が設けられ、その周りに人が集まっているようだ。
興味を惹かれて覗いたアレンの視界に入ったのは、小さな犬。それが何頭も柵の中に入れられ、同じく柵の中に入った家族連れの子供たちと戯れている。どうやら犬のオークションが行われているようだった。「ワンちゃんの里親大募集!」というチラシが地面に落ちているのに気付いた。
「坊っちゃんも良ければどうぞ」という誘いに応じて、アレンも小さな犬をそっと抱える。毛並みはふわふわ、白い体毛も相まって、実体のある雲を抱っこしているようだと感じる。ポフッと犬の背中に顔を埋めると、お日さまの香りがした。腕の中で犬が回転してこちらに顔を向けると、ペロペロとアレンの頬を舐め始める。人懐っこさに、思わず「ふふ……」と笑みがこぼれてしまった。
――姉さんに持って帰ったら、喜んでくれるかな。
姉のリリアは家で留守番をすることが多い。家に犬がいたら、少しは彼女の慰めになるだろうか。……と思ったが、姉に犬の世話をさせるには、少し元気すぎる。家の中をぐしゃぐしゃにされるのを想像するだけで、微苦笑が漏れた。
アレンはポンポンと犬を撫で、柵の中に戻すと、名残惜しそうにその場を離れるのであった。 - 執筆:永久保セツナ