PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

カトレアさんと

関連キャラクター:ジョシュア・セス・セルウィン

楽しみ
 どうぞ。そんな声と共に目の前に置かれたのは、湯気を立てているミルクティーと、今日のおすすめの本。それから、淡い色の蝋で封をされている手紙。
 封に使われている蝋も、スタンプでつけられた模様も、何度も目にしているものだ。差出人を教えられなくても誰が書いたものなのか分かるから、思わず表情がほころぶ。

「ありがとうございます」

 カトレアに向かって微笑むと、彼女もゆるりと笑みを浮かべた。

「ジョセが良いタイミングで来て驚いちゃったわ」

 聞けば、先ほど手紙を受け取りにリコリスに会ったばかりだという。その時一緒にお茶をしたとか。

「あの子、お菓子を作る練習していたわ」
「それは、もしかして」

 きっと、マカロンだ。そう思うと胸が弾んで、ふわふわとした気持ちになる。カトレアはそんなこちらの様子に気が付いたようで、そっと笑みを浮かべた。

「お茶会の約束、しているんでしょう? 楽しみね」
「ええ、楽しみです」

 手紙でのやりとりを一つひとつ思い出しながら、リコリスの作るマカロンを思い浮かべる。マカロンを食べるのは初めてになるけれど、きっと、優しくて温かい味がするのだろう。

 紅茶に口をつけるカトレアにならって、ジョシュアも紅茶に口をつける。ふわりとした香りが心地よい。

 本当に、楽しみです。口の中でもう一度、繰り返した。
執筆:椿叶

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