幕間
ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。
師匠と三人の弟子
師匠と三人の弟子
関連キャラクター:フラーゴラ・トラモント
- 夏の終わり。或いは、差し入れは突然に…。
- ●夏の終わり
「お肉を食べよう……」
開口一番、フラーゴラ・トラモントはそう言った。
胸の前には、保冷バッグを抱えている。
「いきなりね」
ペンを動かす手を止めてイーリン・ジョーンズは目を丸くする。
「お肉……期限が今日まで何だけど、いいお肉だから」
廃棄するのももったいないと、イーリンのもとへ持って来たのだ。
ノックの音が鳴り響く。
「お豆腐をもらったんで、お裾分けにまいりました」
そう言ったのはココロ=Bliss=Solitude。手にはボウルを抱えている。ボウルの中身は白い立方体……豆腐と呼ばれる、豊穣由来の食品だ。
「お豆腐……大豆を加工したもの、だったかしら?」
「えぇ、正解です。大豆を加工したものだと、お醤油や納豆、きな粉なんかもありますね」
「……大活躍ね、大豆」
そう言ってイーリンは、テーブルの上に肉と豆腐を並べて置いた。
最後に部屋を訪れたのは、もふもふ尻尾の美女である。
名をマニエラ・マギサ・メーヴィンという。
にまり、と微笑むマニエラを見て、イーリンは早速すべてを察した。
「貴女は何を?」
「白菜と夏の野菜だな」
どさり、と大きな袋を置いてマニエラは言った。
数秒、イーリンは思案する。
「鍋ね。鍋しかないわ」
- 執筆:病み月