PandoraPartyProject

幕間

鍛錬風景

関連キャラクター:ルーキス・ファウン

ある日の鍛錬。或いは、山ン本部屋のぶつかり稽古…。
 ゆっくりと。
 長い時間をかけて、身体の筋を解していく。
 上半身の衣服を脱いだルーキスは、額に浮いた汗を拭って熱い吐息を吐き出した。
 ところは豊穣。
 とある山村……知り合いの所属している相撲部屋。
(ゆっくりとしか動いていないが、思ったよりも汗を掻くんだな)
 内心でそう呟いて、ルーキスは素足のまま土俵にあがった。

「八卦揚!」
 気合一声。
 ルーキスは地面を蹴り飛ばす。
 姿勢を低くして砲弾のごとく疾駆すると、眼前に聳えた巨山へ頭からぶつかっていった。
「ッショイ! まだまだ柔軟が足りん!」
 ルーキスの突進を胸で受け止め、巨山は呵々と笑ってみせた。
 否、それは山ではない。
 身の丈、八尺にも迫ろうかという巨躯の河童だ。
「ショっと!」
 強烈な張り手がルーキスの顔面を殴打した。
 眉間から後頭部へ衝撃が突き抜け、一瞬、ルーキスの意識が途切れる。
「っ……まだまだぁ!」
 歯を食いしばり意識を繋ぎ、再びの突進を慣行。
 何度も打ちのめされ、土俵に転がり、その度にルーキスは立ち上がる。
 そうして稽古は、日が沈むまで続くのだった。
執筆:病み月
目標を見誤らぬ特訓(仮)
 にゃあん、にゃおん、にゃーん、にゃーん、と。
 無数の猫たちがルーキスを取り囲んでいる、今現在。
 というのも迷い猫を探して欲しいと依頼があったもので、これなら簡単な訓練も出来る予感がしたので受けた。そこまではよかった。

 写真も受け取ったし、特徴もきちんと聞いているし、見つけることは容易いと思っていた矢先のこの無数猫地獄。
 猫が好きな人から見れば天国、嫌いな人から見れば地獄のこの光景。こんな状況でもルーキスの目は鋭さを失わない。
「……なるほどな」
 何かに納得したように、ルーキスは足元の猫たちに目をやって、写真と見比べながら猫たちの精査を開始。
 これは目標を見誤らずに見つける鍛錬である。そう自分に言い聞かせながら、一匹ずつ、丁寧に猫たちを選別して目標を探したのだった。

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