PandoraPartyProject

幕間

紫煙と銃声と、時々狗

関連キャラクター:一・和弥

どちらが上か。どちらも同じか
「おい、狗」
「んだよ」
「赤が似合いそうだな」
「あ?何の話だよ」
「首輪の話だ。察しろ馬鹿め」
「はァ?」
「飼われてるのはどちらだと思う?」
 楽しげな声で自身の首に手を当てる馨に思わず顔を近づければ煙に阻まれる。
「オアズケだ」
 クソが。
執筆:紫獄
弄ぶ
 ふぅ。っと和弥の顔めがけて紫煙が吐き出される。煙たさに顔を顰めて、悪戯に精を出す同居人を睨みつければ喉を鳴らして笑われた。
「なんだ?不満か、狗」
「当たり前だろ」
 何の意味があってそんなことをするのか。辞めて欲しい。自分で吸うならいざ知らず他人に煙だけ吹きかけられても不快なだけだ。
「ふぅん?」
 器用に片眉を吊り上げて、ニヒルな笑いを見せる。
「ならいい。俺は寝る、飯が出来たら起こせ」
 ソファから立ち上がり不遜な一言を残して、寝室へと消えていく。何だったんだと思ったが、それ以降何も言われなかったので放っておいた。


 後日、馨に入れ知恵したらしいイレギュラーズに煙を吹きかける意味を伝えられてその場でしゃがみこんだのは、和弥の一生の不覚である。
(ハメられた!!)
 きっと知っていれば色々と好きにできたのだろう。問えばきっと意味を教えてくれたに違いない。それを逃した事が悔しくてたまらない。
 自らご褒美の機会を逃した狗の耳に飼い主の笑う声が聞こえた気がした。
執筆:紫獄

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