PandoraPartyProject

幕間

紲家の日常

関連キャラクター:紲 董馬

董馬と冥穣のお話
●軽くて重い
「おじいさま〜!」
「ふみゃーぅ……」
「董馬アンタ! 工房にドラネコを連れてこないでってあれほ……ど?」

 紲家の工房の奥から出てきた冥穣が見つけたのは涙目の董馬と後ろ足を怪我したドラネコの姿だった。董馬がドラネコと揃ってうるうるした目で冥穣を見上げる。

「見つけた時には怪我してたんだ……お願い、治してあげて……」
「……はぁ。こっちに来なさい。傷薬塗ってあげるわ」

 状況を察してつまみ出すわけにもいかず、冥穣はため息をついて白衣を翻す。

「アンタが拾ってきた命よ。怪我が治った後はどうするかも含めて、最低限は責任持ってアンタ自身が世話を監督しなさい」
「う、うん! ありがとうおじいさま!」

 その後、元気になったドラネコを工房に見せにきて、揃って摘み出される姿があったとか。
執筆:和了
あの子の裏の顔
 ぷかりと紫煙が空に踊る。
 雪蝶はとんとん、と灰を落とした後手に持った酒をぐびりと呷る。
 今日は珍しく紲家の皆に予定が入っていた。邪魔をするのも憚られ、自分も用事があると嘘をついて1人隠れ家へと戻ってきたのだ。
紲家に見せられないだらしのない姿。彼らは何も言わないだろうけど、何となく裏の顔を見せるのは気が引ける。
「『俺』もみみっちい男だなあ」
 紫煙を吐きながら、紲家に思いをはせる。あの明るい場所が「僕」の居場所なのだ。
執筆:紫獄
馬虎
 覇竜。竜種が棲まう危険極まりない場所。
 その竜種から隠れるように住んでいるのが亜竜種である。そんな彼らが住む場所はフリアノンを始め、幾つか確認されている。
 そんな場所の一角に住居を構えている一族が紲家である。紲家が住んでいる一帯では紲家は有名なのだが、その辺りは置いておくとして。
 その紲家が1人、董馬は散歩をしていた。
 町を歩き、ふらっと店に立ち寄り、適当に買い物をしたりして。そんな風にぶらつき、その帰り道。
「ん、あれはーー」
 見慣れた赤いチャイナドレス。幼さの抜け切らない見慣れた顔。
「白虎お姉ちゃん!」
「あれ、董馬君?」
 白虎は紲家に養子としてきた過去がある。どうも孤児だったらしいが、詳しい事は知らないし聞こうとも思わない。
「今日も修行?」
「うん、まあね」
 白虎が汗まみれになっているが、これは彼女の日課である修行のせいだろう。
 修行、と言っても拳法もどきらしいが。独学で覚えたらしい。
「独学なんて聞こえのいいものじゃないよ。我流だから」
 どうやら見よう見まねとかではないらしい。
 だがしかし。先程から凄く気になるのが。
「ところで董馬君」
 彼女がウチのペットに向ける視線と似たものを感じる事。気の所為だろうか。
 そして残念そうに一言。
「董馬君、美味しくなさそう……」
「食べ物じゃないよ!?」
執筆:アルク

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