PandoraPartyProject

幕間

竜の語らい

関連キャラクター:ジルーシャ・グレイ

伏竜奪取、幕間
●数日後、とある日
「わはは、呑んでおるか、雷の」
「呑んでおるとも」
 ぷかぷか浮いた天籟が楽しげに床を尾で叩き、天雷はぐいっと酒盃を明けて空になったのを見せる。
 気の合う飲み友のふたりだが、合わないものがある。――身長だ。
 天雷は大男で、天籟は(本人に言うと怒るが)子供ほどしかない。
 となると、このふたりの飲み会は手酌が基本となる。
「そうじゃそうじゃ。わし、ぬしに聞きたいことがあったんじゃがの」
「噫、突然じゃな。なんだ?」
 大抵思いつきで発言するのも、お互い様故慣れたもの。
「いや、ちと待て……なんじゃったかのぅ。なんかこう、ここまで出てきとるんじゃが」
「呵呵! ついに呆けおったか!」
「なにおぅ。わしはまだピッチピチじゃが!?」
 なんてやり取りもよくあるため、互いに床を叩いての大笑。……酔いどれ龍たちである。
「おお、そうじゃ。思い出した。先日の、のぅ、なんじゃったか、香りの……」
「思い出しておらんではないか! 香り、というとジルーシャのことか?」
「そう。そうじゃ。良い香りには安眠効果等があるのはわしも知っておるが、痛み止めもあるのかや?」
「儂も如何様な効果があるかまでは知らぬが、腕前は確かじゃ。出来るのではないか?
 なんじゃ、痛み止めが必要なのか? ……怪我人でもおるのか?」
 あの憎き蟻共の動きも依然ある。
「それがのぅ、腰がの」
「ついにやったのか」
「わしじゃないわい。ピチピチじゃぞ!」
 尾をビタビタさせて抗議する天籟に、天雷は呵々大笑。
執筆:壱花

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