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ネーヴェの絢前ゆうたによるおまけイラスト
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イラストSS
その光景を見たのは、本当に偶然だった。
『友人同士』という建前でイルミネーション輝く夜に街へと繰り出したシャルティエとネーヴェは、たどたどしいながらも互いを気遣いつつ、夜の街を歩んでいた。
お互いに気遣いつつ、お互いに余裕があるように装いつつ、それでも意識せずにはいられず、遠慮が入り交じり、視線を彷徨わせる。
そんな中でネーヴェの視線が『その光景』に吸い寄せられたのは必然だったのだろう。
シャルティエとその光景との間を何度も視線を往復させる姿は、期せずして彼にその行為をせがんでいる様にも見えた。
「……やってみますか?」
その視線を察し、しかし僅かな逡巡を経て告げられた提案に素早く頷いたネーヴェは、屈み込んで差し出された首へと赤いマフラーを巻き付ける。一人には長いマフラーを、二人で巻こうとする行為は思いの外難度が高かったか、はたまた身長差ゆえか、おもわず爪先を持ち上げたネーヴェ。
ぐい、とマフラーを引き寄せたことで迫るシャルティエの顔、唇、そして吐息の近さに思わず息が詰まる思いがした。
彼の首から伸びたマフラーを自分に巻き付ける。その一手が、己の顔に熱を差した。その事実を隠すことが無理だと彼女はそのとき悟った。
※SS担当:ふみの