イラストSS

　――耀 澄恋は、死にました。

　親の影響で反転した彼女は、もうこの世にはいない。
　月夜の影に映るのは、今はいない夢幻の存在。

　ごめんねと今にも言いたそうな声はあなたに届かず。
　さよならも言えない涙だけがはらはら流れ。
　ありがとうという想いだけがあなたに届けられて。

　手をかけたあなたにはなんの罪もなく。
　今日、この日まで共にいてくれたことにも感謝を述べて。
　殺してくれてありがとうという想いが月の光となって輝いた。

　それでも、彼女がこの地にいたのは間違いない。
　愛していた、愛してくれた男がいた。
　相談に乗ってくれる友がいた。
　時には喧嘩することもあったけれど。
　色んな人が彼女の傍にいた。

　けれど、運命には抗えず。
　父たる男がああなっては、自分もそうなる運命だった。
　仕方がない。仕方がないのです。
　『こうなること』は決定づけられた運命でした。

　あなたに心の傷は残るでしょう。
　あなたの心は癒えぬでしょう。
　わたしはすべてを持っていきました。
　わたしはすべてを持ち去りました。

　二度と会えぬと知っていて。
　わたしは『こう』しました。


　もう一度、言いましょう。

　――耀 澄恋は、死にました。

　※SS担当：御影イズミ