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(周りだけが)輝かんばかりのこの夜に……
(周りだけが)輝かんばかりのこの夜に……
イラストSS
再現性東京での学校講師の仕事終わりに寂しくホットワインを飲んでいたモカ。
仕事も遊びも充実しているというのに、なんなのだろう。このもの悲しさは。
「輝かんばかりのこの夜に……」
ひとり呟いてみても、輝くような夜の心地にはなれなくて、ワインだけが甘くて。
口の中に残るワインのほのかなアルコールが恋しくて、一杯、また一杯、ごくごくと飲み干してしまう。
でも今日ばかりはいいだろうか。普段だって頑張っているし。
今日だって聖夜だというのに仕事をして頑張ったし。生徒の面倒もみて個別対応もして、事務作業も終わらせてきた。
なら今日くらいは自分を甘やかしたって許されるのではないだろうか。いや、きっとそうだ。そうに違いない。
「はぁ……」
クリスマスマーケットは盛況している。
ホットワインを買うのは大人だけだったからよかったものの、家族連れや子供たち、カップル、友達と来ている若者、それぞれの姿を見るとひとりだけなのは自分だけなのではないかとさみしい気持ちになってしまう。
「ま、そんな日もあるか」
きっと来年は違うかもしれない。今を悔やむことはしないのだ。
ぐいっと飲み込んだワインの味は、先ほどよりもおいしく感じられた。
※SS担当:染