イラストSS

　自宅に招くために様々な準備はしてきた。香りは何が好きだろうとか、飲み物はどれがいいだろう、だとか。
　そうやって準備をしてからプルーと楽しい食事を終えて、和やかな時間を過ごす。
　ソファーに腰掛けたプルーにアルバムを開いてみせるジルーシャは「懐かしいわねえ」と笑った。
「ねえねえプルーちゃん、覚えてる？　ホラ、この時――」
「ええ。これって……」
　ローレットの情報屋とイレギュラーズ。関わる機会はあったけれど、こうして思い出話に花を咲かせる機会はそれほど多くなかった。
　あの時はどうだったのか、この時はどうだったか。そんな風に話しては思い出して笑うのだ。
「沢山とっておいたのね」
「勿論よ！　思い出ってとっても大切だもの。写真の中でだってキラキラとしているのよ」
　練達のカメラを利用して、撮影した写真はどれもこれも光を帯びているように見えた。
　ジルーシャはふと、写真の雰囲気が変わったことに気付いた。恋を自覚した。彼女の事を目で追うようになった時期だ。
　カメラの向こう側で笑う彼女の一番に美しい瞬間を切り取るように写真の空気感が変わっていく。
「なんだか、まるでこの写真はラブレターのようね？」
「えっ――」
　かあと頬を赤らめたジルーシャに「冗談じゃないわ？」とプルーは揶揄うように笑って見せた。


　＊SS担当：夏あかね