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支佐手……
支佐手……
イラストSS
●完璧で究極のケーキ作り
シャイネンナハト、聖夜、特別な夜。
様々な言い方のあるその日には、ケーキという甘味を口にする――
「そうなんですよ、雨泽殿」
「そうだね」
何度と無く支佐手がそう口にしているから、雨泽は適当に相槌を打ちながらケーキを食べる。
「故に特別なけぇきを献上せねばなりません」
「そうだね」
新たなスポンジが焼かれた。冷ましている間に先に焼いてあった分のスポンジへとクリームデコレーション。
「完璧で無くとはならんのです」
「……別にいいんじゃない?」
眼前のホールケーキをフォークで突く雨泽は今何個目だろうと考え、その傍らで支佐手は新たにケーキを完成させた。
「…………」
しかし、支佐手の表情が晴れない。
「支佐手、もうこれで完成で良いんじゃないの?」
「宮様の御前にこがあな半端なもんが出せるわけないでしょう!」
これもと失敗ケーキ消化係の雨泽の前に新たなケーキが増えた。
「僕もうお腹いっぱいなんだけど……」
「ほれ、さっさと食べんさい」
甘味が食べられると最初は嬉しかった雨泽も、何個もホールケーキを消化しろと言われれば苦しいものがある。
けれど支佐手の頭の中は宮様宮様宮様だ。宮様が口にする以上、完璧でなくてはならない!
――結局、その作業は明け方近くまで続いたのであった。
※SS担当者:壱花