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例え喋れずとも
例え喋れずとも
イラストSS
「……まぁ聞いてねぇだろうけど、そっちの調子はどうよプラック、俺はまぁ…嬉しい事と悲しい事が半々、色々ごちゃまぜな一年だったよ」
結婚だってしたし、親しい竜の友達もできた。
それだっていうのに、君との別れは早すぎた。
「いやなんかこのコートやら武器が来たのは別の意味でビビったけど……。あ~~~あ、折角ならいっしょに年越したかったんだけど、お前は勝手に行っちまったからなぁ……土産話はかな~り先に成るけど、何時か持ってくるよ。ともあれ、メリークリ……じゃねぇ、輝かんばかりのこの夜に、プラック」
──男は何も言わない、言えない、聞こえない、見えない。
彼は死者であり、既に魂すらも何処かへ消え去っている。
灰は灰に、塵は塵に、土は土に。
だから、此処に在るのは残滓、或いは都合の良い泡沫の写見。
それでも、誰に観測出来なくとも、彼が此処に在るのは今までの友人為と墓参りに来ている最後の友人への深い感謝の為だろう。
「輝かんばかりのこの夜に」
つぶやいたのはどちらだったか。
きっともう声も届かない。そうだとしても。
ただ友だった。それだけでよかった。
いつか、また肩を並べて話せるその時まで。
さらば、友よ。
※SS担当:染