イラスト詳細
フラーゴラ・トラモントの柿田による3人ピンナップクリスマス2023
作者 | 柿田 |
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人物 | フラーゴラ・トラモント 零・K・メルヴィル レイヴン・ミスト・ポルードイ |
イラスト種別 | 3人ピンナップクリスマス2023(→おまけイラスト)(サイズアップ) |
納品日 | 2023年12月24日 |
イラストSS
シャイネンナハトに盛り上がっていた人々も、夜が深まれば自宅へと帰り家族と過ごす時間を楽しむのだろう。ふと気がつけば、街の中から賑わいの声も消えて、窓の外にはしんしんと降り積もる雪と静かに光を発する色とりどりのイルミネーションがみえるだけとなっていた。
「やっと休憩だなあ。皆おつかれさま! はいこれ、夜食のフランスパンアレンジのサンドイッチ。シャイネンナハトスペシャルだよ」
「すごーい! 美味しそう! 零さんありがとう」
オリーブのしずくという医療団体が運営する小さな病院で、シャイネンナハトもお構いなしに――というよりもだからこそというべきか。手伝いをしていたフラーゴラと零。
漸くその日の仕事が一通り終わると、零が自身のギフトで生み出したフランスパンを使って作った特製のバゲットサンドを配っていく。どうやら今日は遅くまで働き詰めになると思って、仕事の合間に夜食として作っておいてくれたらしい。
受け取ったフラーゴラは空腹も手伝ってすぐにかぶりつくと、その美味しさに思わず頬が緩んでしまう。
「悪いなレイヴン。パトロンなのに手伝ってもらって」
「ちょっと顔出すつもりががっつり手伝ってしまったな」
オリーブのしずくに所属しているわけではないが、その活動を援助している関係で顔を出していたレイヴンは、あまりにも忙しそうにしているものだから手伝いに参加しこの時間まで付き合うことになってしまったが、達成感や充足感もひとしおで悪い気はしない。
零からサンドを受け取ると一口食べて頷く。どうやら貴族出身であるレイヴンの口にも合う味だったようだ。
そうして談笑していた時のことだ。病院の入り口近くで人の気配がしたのでどうしたのかと見に行ってみると、なんと宅配業者が大量の荷物を届けに来ていたのだ。
なんでも、混沌各地の有志から病院にシャイネンナハトのプレゼントが送られていたのだが、豪雪のせいで配達に遅れが生じてこの時間に到着したという事らしい。
さっと時計を見るフラーゴラ。まだ日付は変わっていないようだが、この大量のプレゼントを入院患者のひとりひとりに配って回るとすればさほど余裕があるとは言えない。
「大変! 早く配らないと日付けが変わっちゃう! もぐもぐもぐ!」
「落ち着いて食えぬものだな」
「忙がないと!」
受け取ったプレゼントの数々を三人で手分けして抱えると、バゲットサンドを頬張りながらも今日中に全てを配り終えるために走り出すのだった。