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休憩中(悪性夜妖サンタをグシャった後)
休憩中(悪性夜妖サンタをグシャった後)
イラストSS
ぼんやりと歩く華奢な後ろ姿。
少しでも力を入れれば折れてしまいそうな足は、薄く雪の積もった町の通りを頼りなさげに踏んでいる。
身なりはいい。
やや不健康そうだが、スラム街の孤児というには綺麗すぎる。
そんな姿が、ふらりと裏道へと入っていった。
絶好のチャンスだ。逃す手はない。
男は迷いながらも、少年とおぼしきその後ろ姿に足を向けた。
それが、最大の間違いであったと気付くことなく。
大きな物体が叩き潰されるぐちゃりという音を最後に、帽子が白い地面へ落ちる。
飛び散った血に続いて、流れ出た血が雪を染めてじわじわと溶かし始めた。
「あーあ、困ったなあ」
少年――もといラエル・モカ・ベリアノーザ(p3p010709)は残念そうに手元を見る。
サンタクロースの格好をしてついてきた男が欲望を剥き出しにして掴みかかってきたのでつい潰してしまった。
それだけのことである。
それだけのこと。
困ったのは、別の事だ。
手足から伸びた黒いアメーバ状の物体がうにょうにょと広がって、目のようなものを浮きあがらせた。これが元に戻るまで時間がかかる。
「倉庫番をしないといけないのに帰るの遅くなっちゃうなぁ」
ぼやきながら空を見る。
鉄のにおいが混ざった空は、ちらちらと雪が降っていた。
表通りは、まだ賑やかだ。
もう少し座って居よう。ラエルは町の音を聞きながら、目を閉じた。
※SS担当GM:黒筆墨汁