イラストSS

　シャイネンナハトの夜は静かだ。
　昼はお祭りのように騒がしいのだが、夜は何か神聖なものを待つかのようにしん、と音が消える。
　そんなこの日がフラーゴラもエクスマリアも大好きだった。

　今日は二人で同じベッドで、夜更かしをしてみないか。

　そんな提案をしたのはどちらだっただろう。ともあれ、フラーゴラとエクスマリアは二人、同じベッドに枕を並べ、暖かいふわふわのシーツを被っているのである。

「それでね、マリー。アトさんがね」
「ああ」

　エクスマリアは少し口下手だから、主に喋るのはフラーゴラの方。でも楽しいから良いの。二人は内緒話をするように、こそこそと話し合い、時折くすくすとフラーゴラが笑みを零す。エクスマリアは笑いこそしないけれど、興味津々といった様子で瞳を輝かせていた。
　そうして、どれ程の時間が経っただろうか。折角だから早めにベッドに入ってしまおうと思ったのに、すっかりと夜は更けて。

「――ああ、もうこんな時間。まだ寝たくないなあ」
「ああ、フラー。マリアもだ。……夜が終わってしまうのは惜しい」

　いつまでもこうしていたい、な。
　そう言ったエクスマリアの髪は、恥じらうようにほんの少し内に巻いて。
　フラーゴラは胸にぽっと明かりが灯るように嬉しくなって、ワタシも、と友人の分まで笑みを浮かべた。

　※SS担当：奇古譚