イラストSS

●ちかい、ゆめ
　光に満ちた夜の街。
　トキに引っ張られてきて、渡されたのは赤いマフラーだった。
　もうじきシャイネンナハトだとか、楽しみにしててとか、ガキみたいにはしゃいでたのは知ってる。
　……作ってたのか、これ。
「ほら、屈んでよ。巻いてあげる」
「お前のは」
「これはサクのなの！」
　仕方がないから少し屈む。
　他のガキどもがいないとこうなんだ、こいつは。優しいかと思えば気が強いというか。我儘というか。ガキくさくなるというか。
「……どう、かな」
「……まあ、うん」
「何それ」
　笑いながら、今度は自分のマフラーを巻こうとしてたから。
「待てよ。……貸せって、それ」
「巻いてくれるの？」
「他に誰がやんだよ」
　……言ってから、マフラーくらい一人で巻けるって思ったけど。
　大人しく渡された、オレのより短いマフラーを巻いてやった。
「へへっ、お揃いだね！　まあ、糸があんまり貰えなかったんだけど……」
「結構……、…………」
　恥ずかしいなんて言えるか。あいつはシャイネンナハトが楽しいだけなのに。
「サクは、楽しくない？」
　そんな顔で見上げられたら、ひとつしか答えられなくなる。
「……楽……しい、……か、な」

　※SS担当：旭吉