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カイン・レジストのきのったによるシングルピンナップクリスマス2023
カイン・レジストのきのったによるシングルピンナップクリスマス2023
イラストSS
誰も足跡をつけていない雪というのは、どこか特別な気持ちになるものだ。
「よ……っと」
雪降るシャイネン・ナハトといえど夜ともなれば表通りも裏通りもどこも足跡でいっぱいになるものだがが、ここは違う。
まっさらに雪がつもった屋根の上。
そこへ柔らかく着地したカイン・レジスト(p3p008357)は最初の一歩を踏みしめた。
雪が滑り落ちないくらいに丁寧な、熟練の冒険者ならではの着地である。
「いつもは冒険の為に忙しなく動いているけども、たまにはこんな日も良いよね」
その場に腰を下ろしてみれば、町の風景がよく見えた。
世界地図の西へ東へ、あるいは果ての先へ。前人未踏の地を次々に踏みしめ名を轟かせたカインだけれど、時にはこうして人知れず屋根の上に乗ることもある。
両手を頭の後ろで組んで、ふわりと寝転んでみた。
そうすれば、雪降る夜空を独り占めできるのだ。
明るく飾られた町はいつも以上に賑やかで、自分がそんな日常の中に溶けていくように錯覚する。
つい微笑みがこぼれてしまうのは、平和な日常が心地よいからだろうか。
こんな日も良い。
なにしろ自分達が守った平和だ。それを人知れず楽しむ夜があってもいい。
カインはそっと目を瞑り、喧噪に耳を傾けるのだった。
※SS担当GM:黒筆墨汁