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刻見 雲雀の二条によるおまけイラスト
刻見 雲雀の二条によるおまけイラスト
イラストSS
長かった。
とても長かった。
混沌へと召喚されてから、雲雀はどれほどこの時を待ちわびた事だろう。
召喚前にいた元の世界では片方の瞳の色だけが違う、瓜二つの顔をした双子の兄がいた。その兄がやがて死すると知って、何度も時間を巻き戻してやり直しを行っていた。
だが、運命を変える事が叶わぬまま召喚されてしまってからは、常に気が気ではなかった。仲良くなった仲間たちと過ごす中でも心のどこかで常に考えていた。
自分がいなくなった後、元の世界で兄は無事だろうか。やり直しが効かない状態で運命の日を超えることが出来たのだろうか、と。
しかし、そんな心配は杞憂だった。正確にはいつ頃なのかは分からないが、兄の隼人もまた混沌世界へと召喚されていたのだ。
すれ違いを経て巡り合った二人はこの聖なる日に公園で待ち合わせると、ベンチに座って肩を並べる。
「隼人。無事でよかった。こうしてまた会えて、本当に……」
「俺もだ、雲雀。この世界ならもう運命に縛られることはないだろう。だからこれからもずっと……」
双子の兄弟であり、最も愛する存在。
繋いだ手の上に更に手を重ねると、伝わる熱から確かにそこにいるのだという実感を得る。
隼人の肩に凭れ、雲雀はじんわりと心も温まっていくのを感じたのだった。
※SS担当者:東雲東