イラストSS

　某所にあるスポーツジム。世間はシャイネンナハトだからだろうか。室内は静寂に包まれていた。
「さて、始めますか」
　そこに現れたのは瑠璃だった。
　スポブラとスパッツという動きやすい恰好でジムの中へと入ると、軽く体を動かしてウォームアップを済ませある場所を眺める。
　このジムに設置されているクライミングコースだ。
　垂直の壁に取り付けられたホールドやハリボテと呼ばれるでっぱりを手足で保持しながら、所定のコースをたどって登りゴールを目指す。
　激しく全身を使う運動のため体力作りにはもってこいと言えるだろう。
「ふっ！」
　今回瑠璃が選んだのは、黄色いホールドと黒いハリボテで設定された赤いテープの張られたコース。上る前にイメージしていた通り、なかなか難しい設定のようだ。
　が、正確に見極めれば完登は出来るようになっているはずだ。
　ぐっと右脚を伸ばして次のハリボテに足を掛けるとそのままの姿勢で停止。間もなくゴールだからこそ冷静に。次の一手をどのようにするかを考えながら荒くなる息を落ち着ける。
　少しして、ちろりと唇を舐めると全身の筋肉へと意識を巡らせると、理想のイメージを辿るようにゴールとなるホールドへ腕を伸ばした。

　※SS担当者：東雲東