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隠岐奈 朝顔のほったりょうによる2人ピンナップクリスマス2023
隠岐奈 朝顔のほったりょうによる2人ピンナップクリスマス2023
イラストSS
黄金に彩られた草原のただ中を、隠岐奈朝顔と天香・遮那はゆっくりと歩いていた。
冬だというのにこの場所には美しい景色が広がっている。
豊穣の地母神に愛された土地なのだろう。
「綺麗ですね……」
「そうだのう」
以前であれば触れ合うほど近くを歩いていたであろう二人の距離が今は遠い。
朝顔がとある事件の折、記憶を失ったというのだ。
遮那は不安げな朝顔が少しでも穏やかになればと思い、この場所へと連れ出したのだ。されど、朝顔はぼんやりと遠くを見つめるばかり。
「向日葵……」
ふと、朝顔の本当の名を呼ぶ。
そうすれば、記憶が戻るやもと思ったのだ。
「えっと……?」
ハイライトの無い天色の瞳で朝顔は振り返る。
その瞬間、草に躓いて重心が傾いだ。
「わ!?」
咄嗟に地面へと着こうとした手が、遮那の肩に触れる。
「大丈夫か?」
朝顔の身体を支えた遮那が心配そうに顔をのぞき込んだ。
「はい……大丈夫、です」
余所余所しい返答の朝顔に、遮那もどうしたらいいものか考えあぐねる。
否、記憶を無くしたとしても、朝顔は朝顔なのだ。
彼女が親しい友人である事に変わりは無い。
遮那は朝顔の手を取って、立ち上がらせる。
「さあ、行くぞ」
いつも通りの声で、遮那は朝顔へ笑顔を向けたのだ。
※SS担当:もみじ