イラストSS

「う……えー……」

　トールは現在、写真撮影中である。
　ちょっとえっちな感じの、シースルーの白無垢姿。
　恥じらいの多い表情を向けたままに彼は写真撮影を請け負っていた。

　女装がバレたら極刑という、とんでもない事情を持つ彼は普段から女装姿で振る舞っている。
　そのためこう言った女装の写真撮影というのはよくあることなのだが……。
　今回は何処かから情報が差し込まれ、ポーズもちょっぴり指定が入っての撮影となった。

「こ、こう、でいいですか……？」

　辛い体勢にならないように、しかし撮影は見栄え良くする。
　少しだけ太ももを上げて布と布の隙間がチラ見せ出来るぐらいの体勢をとった。

　太ももを上げたせいか若干寒さが隙間に入り込み、肌を冷やす。
　だが恥ずかしさのほうが上回っているトールは風をものともせず、逆に恥ずかしさで上がった熱を冷ましている状態だった。

「手？　こう、です？」

　カメラマンから右手を胸元に添えて、と指示をもらったトールはそっと自分の右手を胸元へ持っていく。
　まるで今にも自分から白無垢を開けさせようとするポーズにカメラマンはテンション爆上げだ。

「い、いいんですか、これで……」

　何とも言えない感情がトールを包む。
　なお、より良い１枚がトールのもとに届けられたのは言うまでもない。