イラストSS

「は～、楽しかったな、アニー」
　白い息を満足げに吐き出しながら零は傍らの妻、アニーを見た。
「ふふふ、零くん子供みたいにはしゃいでたね」
　くすくすと笑ってアニーがいうのは先ほどまで二人で過ごしていた遊園地でのこと。
　二人は遊園地でのデートを終え帰路についているところだった。普通ならこのまま家に帰って終わり、といったところであろうか。
　だが、二人の手はお土産だけでなく食材の入った大きな紙袋やケーキが入っていると思わしき箱で埋まっている。理由はもちろん……。
「……でもまだまだ、シャイネンナハトはこれから」
「ケーキも買ったし、ちょっと奮発して手に入れたワインもあるし、今日はごちそう！」
　零の言葉を受けてアニーが続ける。
　そう、デートは終わっても今日はまだ終わらない。家に帰ってからは買ったばかりの食材やケーキ、ワインを開けてパーティーが待っている。
　シャイネンナハトの特別な夜なのだからこの後も楽しみ尽くさなければ損というもの。あれだけ遊び、荷物も持っているというのに二人の足取りは軽い。

　美しき聖夜、平和な夜。今年も愛しい君と共にあれることに感謝と祝福を。
　揃いの薄黄色石のブレスレッドがイルミネーションを受けてキラキラと輝いていた。

　※SS担当者：心音マリ