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母と娘と
母と娘と
イラストSS
温かいのはなんでだろう。
暖炉の火がぱちぱちと音をたてているから?
それともお気に入りの冬服を着ているから?
キルシェ=キルシュ(p3p009805)はぼんやりと考えながらかぎ針をせっせと動かしていた。
「そう、そこに通して。くり返して……」
はんなりとした口調で十夜 蜻蛉(p3p002599)が棒の先を指さしてくれる。
今作っているのは系とのマフラーだ。編み物をするからと、今日は落ち着いた洋服姿である。
いつものオシャレな装備も格好いいが、こういう蜻蛉もまたよいと……キルシェは横目でちらりと見ながら思う。
「うん?」
蜻蛉がどうかしはったんと小さくかしげた首で示すと、キルシェはえへへと笑った。
「いえ、なんでも!」
キルシェは再び手元へ視線を戻すと、編み物に集中し始める。
蜻蛉は穏やかに微笑んで、自分の編み物へと戻っていく。
暖炉の火だけが静かに聞こえる、穏やかな昼。
棒を動かし時折こすれる音以外、二人からは聞こえない。
そしてふと……キルシェは気付いた。
蜻蛉さんがいるから、暖かいんだ。
つい緩んでしまいそうになる頬を軽く押さえて、キルシェはまた一つ毛糸を繰る。
※SS担当:黒筆墨汁
