イラストSS

　お揃いの制服に身を包んで、放課後に繁華街へと繰り出す。
　そして、見つけた屋台で食べ物を買い、また歩く。
　食べ歩きなんて行儀が悪い、なんて野暮なことを言う大人も今日は居ない。
　ココロとリディアは思う存分、買い食いを楽しんでいた。

「う～～ん！　甘くておいしいです！」
　リディアが幸せそうに、あんまんを頬張った。
　口の中に広がる優しいあんこの甘さと、皮のふかふかとした食感に舌鼓を打つ。
「寒い時に食べるあんまんって、美味しいですよね。私も好きです」
　友人の幸せそうな顔を、見守りつつココロもまたあんまんを一口齧った。
　シャイネンナハトの時期は、日が落ちるのも早い。
　制服のスカートは気に入っているが、寒さは容赦してくれない。
　だが、寒い冬だからこそ、温かい食べ物や飲み物が格別に美味い時期でもある。

　しかし、このあんまんがいつもより美味く感じるのは寒さだけではない。
　大切な人と、一緒に食べる。
　これこそが、食べ物のうまさを引き立てる最高のスパイスなのだ。
　二人はそれがよく分かっていた。

「あ！　あっちの屋台のも美味しそう！」
「じゃあ、次はそこにしましょう！」
　少女たちの放課後はもう少しだけ続くようだ。