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劉・紫琳のほったりょうによるおまけイラスト
劉・紫琳のほったりょうによるおまけイラスト
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「こっち、こっちよ」
駆けていく琉珂の背中を追掛けて紫琳は「待って下さい」と微笑んだ。
おめかしをして、練達でショッピングを楽しむ。その誘いを掛けたときに琉珂はぱあと華やいだ様子で笑ったのだ。
「ずーりん」と呼ぶ声が弾む度に笑みが溢れる。煌びやかな街に興味をそそられて慌てた様子で走る彼女が可愛らしい。
「ねえ、あれはなにかしら?」
「クリスマスマーケットですね。行きますか?」
「ええ、はやく!」
手を引いて琉珂が走れば脚が縺れぬように紫琳は着いていく。握る掌が温かい。
本当に彼女の事を愛おしく思っている。敬意も、友情も、混ぜ込んで『琉珂』というその人を好いているのだ。
(琉珂様。貴女の笑顔が私にとっては一番のシャイネンナハトのプレゼントなのです。
――だから今だけは何にもとらわれない『普通の女の子』の時間を、貴女と共に)
この人は里に戻れば『里長』として背負うものがある。それでも明るく振る舞うが、彼女自身は何物にも囚われずに広い世界へ行きたいと願っていたことだろう。
それを今だけ、この時だけは楽しませてあげたかった。
ここに居るのは里長でも、特異運命座標でもない。ただの琉珂なのだと。
穏やかに微笑む紫琳を呼ぶ琉珂はその気持ちを知ってか知らずか「早く行きましょう」と朗らかに笑うのだ。
*SS担当:夏あかね