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スティーブン・スロウの東雲陵による2人ピンナップクリスマス2023
スティーブン・スロウの東雲陵による2人ピンナップクリスマス2023
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夜景の見える高級レストラン。テーブルランナーよりもシックな赤色のドレス。誰の目にも正装と映るジャケットスタイル——背伸びをしたお洒落なディナータイムも、食後の紅茶と歓談を残すばかりといった頃合いか。
ぽつんと柊飾りがひとつきりの皿から窓の外、雪の街へと移ったエクスマリアの興味を引き戻したのは小さな音だ。トン、トン、と白いテーブルクロスの上を跳ねるスティーブンの指先は今夜も装飾品に塗れている。幼なげな瞳がそちらへ転がるのを確かめた彼は、ほい、と軽い仕草で反対の手を卓上にあげた。
赤と緑のラッピング。小箱を照らして揺れるキャンドル。今日という日を象徴する木を模したライトまで盤上には揃っているのに。
「何だと思う?」
まんまる。それから、ゆるりと。感情の見えない顔の中にあって雄弁な蒼玉に、笑えるほどにわかりきったクエスチョンを。
「いいのか?」
問いを重ねて確かめたのは宛先で、ふたつ並んだエクスマリアの掌へ押し出されたそれが答えだった。瞳から伝う歓喜は夜景すら霞ませて。温くなった紅茶を飲み干すカップの中に、スティーブンの満足げな吐息が満ちた。
※SS担当:氷雀