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神様がこの世界にいるのなら
神様がこの世界にいるのなら
イラストSS
――聖夜。空には満天の星々が彼方まで広がっていようか。
ハリエットとギルオスは二人並びて外へと。
歩めば様々な記憶が張り巡らされようか――
此処までの事。これからの事。
故に……
「あの、ね。私も『貴方が居なくなったら、生きる意味を失う』んだ」
抱擁。真正面から至るその行為には、微かな勇気と共に。
胸元で揺れる蒼い石……『Ne vivam si abis.』と名付けられた、贈られた想いに応えるように。体温とともに、貴方を大切に思う気持ちが伝わればいいと――願いながら。
「これから、大きな騒動が起きる。私は現地に赴くけどきっと帰ってくるから……
帰ってきたら、また。傍にいさせて、ください」
「――それはお願いする事じゃないね」
直後。ギルオス、は。
「また来よう。また一緒にいよう」
暖かな、両の腕で包み込もうか。
「僕も君と一緒にいたいから」
「――――」
「どうか。この温もりを覚えていてほしい」
僕に出来る事は少ないけれど。
君の……心の支えになれるなら、幾らでも君の力になるから、と……
ああ。その一言で、私は頑張れる。
目を閉じ、暫しのぬくもりを共有しながら、知る。
人を愛するというのは、優しくて、暖かくて――どこか切ないものなのだと。
シャイネンナハトの夜に、知る……
※SS担当:茶零四