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手取り足取りってこういうこと?
手取り足取りってこういうこと?
イラストSS
あのね。童話は童話。所詮夢物語のお話なんだろうな、って。割り切っていたの。
「今日呼んだのは他でもないココロちゃんに、プレゼントがあったからなんです」
「はい、その。だからってドレスコードがあるなんて思ってませんでしたけど」
「でも嫌じゃないでしょう」
「それは、……そう、ですね。だってほら、こんなにもきらきらしていて、きれいだから」
柔らかいドレスの裾を踏んでしまわないように不安で。その度にトールくんが、手を差し伸べてくれるのがうれしくて。
でもそう、女の子ってのはちょっぴり夢見がちなものなの、ご存じ?
お砂糖みたいにきらきらしていて、甘くて、しあわせ。そんなめでたしめでたしが欲しいのに、幸せすぎても不安になっちゃうんだよ。
「うん。だから……足に、触れても?」
「それは、どうして?」
「……プレゼント。渡したくて」
「それなら。いいですよ、トールくん」
躊躇いがちに触れられた足に、ひんやりと冷たい滑らかな感触が染み渡る。
「これは……」
「ガラスの靴です。シンデレラ」
貴女に生涯を捧げる騎士の誓いは、その輝きと同じく永遠不変で、色褪せる事はなく。
だから、これは――あなたのお姫様として。
きっと、これが――貴女の騎士として。
僕の初恋へ捧ぐ。
※SS担当:染