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フリークライの緲によるおまけイラスト
イラストSS
はらり、と何かが舞い降りた。
「ん。雪」
窓の外を眺めるこころ。
「主。寒ク ナイ? 風邪 引カナイ ヨウニ」
フリックが応急処置のように白衣をこころの肩にかける。巨躯であるフリックに少女のこころ。フリックが白衣をつまむとまるで人形サイズだ。
舞降る雪を見てふと思い出す。
「そっか。もうすぐシャイネンナハトか」
ラボにこもりがちだとどうしても季節の感覚がなくなってしまう。
「……ん。いいこと思いついた」
「?」
こころがにやりと笑う。
「こころ〜! このバカ娘が!」
ひたいに青筋を立てるフィジック。眼前には一階建の建物より大きいモミの木が。
「フィジック 怒ッテル。ヤッパリ 怒ラレタ。無理 ダッタ」
シャイネンナハトのツリーにしようかと思って。こころがフリックに命じて持って来たモミの木を見て「返して来んか!」とフィジック。
フリックの様子を見てもこころと問答あったのだろうと想像出来る。あたふたとこころとフィジックを見比べるフリック。
紆余曲折あり。1m程度のモミの木に落ち着いた。ちょうどフリックの片手におさまるサイズだ。植木鉢に植えられたモミの木。モールとオーナメントで飾り付けられており、てっぺんには星だ。お決まりのシャイネンナハト仕様である。
「ああ疲れた。一仕事終えたって感じ」
椅子にもたれかかるこころ。
「余計な仕事をしたとしか思えんのじゃが。フリックも素直に従うんじゃない」
コーヒーをすすりながらフィジックがこぼす。
「主 皆デ シャイネンナハト オ祝イシタイ 言ッテタ。ダカラ」
……そう言われたら弱い。フィジックはほころぶ口元を隠すようにコーヒーをまた一口飲んだ。
「ラボの皆でシャイネンナハトのパーティーしましょ!」
「まったくこの小娘は……」
「ターキーやケーキや炭酸でお祝い! もちろんフリックの分もある」
フリック用のターキーやケーキや炭酸と言うものが想像出来ないが、きっとこの娘は作ってしまうんだろうなとフィジックは思った。
「ン。皆 楽シクナル。ソウナルナラ フリック モ 嬉シイ」
「これが終わったら新年。新年会もする。フィジック、お年玉頂戴ね?」
「誰がやるか!」
しれっと言われたがフィジックは聞き逃さない。くすくすと笑いながらぱーっと逃げて行くこころ。もしくはシャイネンナハトのパーティーの準備に行ったのかもしれない。
こんな調子で皆Dr.こころに振り回される。いつもの日常だった。
※SS担当:7号