イラストSS

　乙女はちょっと恥ずかしかった。
　こんな姿、特別な相手じゃなければ見せないものだから。
　エリスの周りに散らばるクッキー、苺、キャンディ、それから囓りかけの林檎。甘い物の中心で恥じらう彼女もまた、甘いご馳走だろう。
　天井にはまばゆく煌めく小ぶりの灯りが連なっていて。
　薄明かりではなく、明るく輝く光の下で、エリスの姿――布リボンだけを肢体に巻いたもの――がハッキリと浮かび上がる。それによって、彼女が横たわっている事も判明する。
　生まれたままの姿の要所を隠すようにして巻かれた赤い布リボン。頭上で組んだ腕には二重三重にと巻いていて。
　唯一、左足にのみ太腿まで食い込む程の靴下が履かれていた。緑と白の縦線に小さなワンポイントのリボンがついていて、それは箱の用のも見えた。もしかしたら、プレゼントを入れる靴下にエリスが入っている、という比喩かもしれない。
　口元にはハート型のクッキーを咥えて、恥じらいながら目は逸らしている。
　これを見た特別な相手に、自分はどう映っているのだろう。
　けれど、これだけは言わせてほしい。

　――――プレゼントはわ・た・し・です？？

　何故疑問形なのかは、この際些事な事だろう。

　※SS担当：古里兎　握