イラスト詳細
佐藤 美咲の斉藤アキによるおまけイラスト
イラストSS
『Getting over with Fukuhara』
「んあー」
美咲が髪を指でくしゃくしゃにしていると、ほむらがあおむけに倒れた。
「……無理かなあ、もういっそ四コマにしません?」
「ネタ、ありまス?」
「いやなんかもうネットミームとか、声つながりのクロスオーバーパロとか」
「ネタ、ありまス?」
「……」
今度はとうとう、二人して天井を仰ぐ。
そして刺すような白いLEDの光から目を背け、スマホに手を伸ばした。
「……」
「…………」
あかんやつだ。
とにかくネームが切れない。
まずはそこからだ。毎年こうなっている気はするが、人は学ばないもの。
それでも描かねば入稿もおぼつかない。
二人はここ数日を泊まり込み、食べ物もデリバリーサービスに頼り、原稿と向かい合っていた。いわゆる缶詰というやつだ。
だが一ページも進んでいない。なんならネームも切っていない。入稿まであと48時間という時間制約が、ただでさえ薄い本をさらに薄くしようとしている。
「いっそ水着にします?」
「服描かないでいいスからね」
「……いや、ネーム」
「…………ネーム」
「休憩、糖分いれましょう」
「ちょっとゲームでもしときまスか」
「ですね、リラックスリラックス、平常心。あーこれ……」
「っス」
壺のおじさんが傘を振る、突く、跳ねる、進み――落ちる。
ふりだしに戻される。
「あー……」
「そこ、たぶん一回、身体? 壺ごと持ち上げて」
「いや理屈はわかるんスけど」
「てかこのMODなんですか」
――
――――
「鳥、鳴いてますけど」
「眩しいスね」
「このホーホーみたいな朝の鳩の声、めちゃウザくないですか」
「ああああああ!」
「ああああああ!!」
この後めちゃくちゃ原稿した。
「――来年は『こんなことない』ようにしたいですね」
「スね」
※SS担当者:pipi