イラストSS

　音を立てないようにドアを開ける。ラッピングされた箱を腕に抱えながら抜き足差し足で忍び込んだ寝室。眠っているのは、この部屋の主。
　枕元というか、壁に飾られているリース。それから、室内に設置されている小さなツリー。どちらもレースや小物などの飾りが取り付けられていた。
　部屋の主――レジーナの寝息が聞こえるのを確認しながら、彼女が眠るベッドに近付く。
　この聖夜に相応しい、贈り人の格好に身を包んだレッドは、持ってきたプレゼントを改めて持ち直すと枕元にそっと置く。
　朝になってこのプレゼントを見つけた時、彼女はどんな顔をするのだろうか。
　驚くだろうか。喜ぶだろうか。願わくば、後者であってくれと思う。
（あぁ、でも、この人なら）
　期待に満ちた目をしてラッピングを解き、中身を知って微笑みそう、なんて思ったりもして。その様子を想像するだけで、レッドの口元も自然と綻び、笑顔になる。
　レジーナが笑ってくれたら良い。
　ただそれだけを願う。
　彼女の願いなど露知らず、レジーナはぐっすりと眠るばかりだ。
　外では静かに雪が降り、聖夜（シャイネン・ナハト）の特別感を増していた。

　※SS担当：古里兎　握