イラストSS

　冬の太陽が、優しい日差しを授ける昼下がり。色とりどりのオーナメントで飾り付けられたレストランは、常以上の人々で賑わっている。
　片や黒と赤のドレスを、片や白一色のドレスを――対照的な色彩の二人は、クリスマスツリーに近い席で、取り留めのない談笑と共に食事を楽しんでいた。
　レイリーはミディアムレアのステーキを口に運びながら、思いついたように問いを投げかける。
「今夜の予定を聞かせてよ、エレンシア」
「ん？　あー、特にはないな。まあ、やるとしても姉貴とささやかな祝い、程度だろ」
　エレンシアも肉厚のステーキを頬張り、もごもごと答えた。家族と過ごすいつもの祝祭。何気ない時間ながらも、何気ない平和を噛み締められる一時だ。
「そう言うレイリーは？」
　問われた彼女は「デートよ」と軽快に答え、ぐいっとワインを飲み切る。少なくとも一杯目ではないワインを飲み切る姿に、エレンシアは眉をひそめた。
「昼間からそんなもん飲んで大丈夫なのか……？　まあ大丈夫なんだろうが」
「ええ。エレンシアもステーキばかりでいいの？」
「これが一番美味いんだよ」
　エレンシアも二枚目となるステーキを食べ切り、満足げに頬を緩める。
　そうやって、美味しいお酒と肉料理を満喫しながら、淑女二人ののんびりとしたランチ・タイムは過ぎていった。

　※SS担当者：梢