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イラスト詳細

見守る距離の「 」

作者 あきやま菜摘
人物 ジェック・アーロン
アウラスカルト
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2022(サイズアップ)
納品日 2022年12月25日

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イラストSS

 浮遊島アーカーシュ――エピトゥシ城の夜。
 近くの林を歩けば、真冬の済んだ大気に精霊灯のイルミネーションが煌めいている。
「人はこの聖なる夜を祭事として、細かな光を数多く灯すのか」
 アウラスカルトは何度か会った通りに、素っ気ない物言いだ。
 けれどあまり動かない表情は輝いて見え、なんだかんだちゃんと感激しているようだった。
 じっと眺める様子から感じるに、アウラスカルトはこういうものについて、書物や何かの知識はあるだろうけれど、経験自体はなさそうに思える。
 どのみち人と交わっての聖夜は初めてだろうから。
「気に入ってくれたみたいで嬉しいな」
 どうもこの竜は、こういったきらきらしたものが好きらしい。
 ジェックも自然と微笑みが零れる。
「ジェック、あれは何だ?」
「ああ、うん。これは飾りなんだよ、綺麗だし可愛いでしょ」
「確かに美しい。そうかこの衣装や飾りと同じような理屈か」
 振り返ったアウラスカルトが、手袋に包んだ手で自身のリボンを軽くつついた。
「そう言われれば、そうかもしれないね」
 少女の歩幅に合わせてゆっくり後ろをついていくと、アウラスカルトはそんな風に何度もジェックの名を呼び、振り返っては問うてくる。最早あきらかにはしゃいで見える姿が、楽しそうで何よりだ。
「そうそう、居るのを知って急いで仕入れてきたんだけど」
 一通り見て回った後、ジェックは切り出した。
「折角だから、こういうの飲んでみない?」
 バルツァーレクの白。スパークリングだ。ちょっとお高いが飲みやすい。
「人は祝い事に酒を飲むのだったな。分かった」
 両者の間にあったぎこちなさのようなものは、もうほとんど感じられなくなっていた。
 ほっとするような、嬉しいような、ありがたいような。そんな気がしてくる。
 この聖なる夜と、誰かが飾ってくれたオーナメントに感謝して。
 城に戻ったら一緒に乾杯しよう。

 ※SS担当者:pipi

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