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回言 世界の卯龍による3人ピンナップクリスマス2022
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シャイネンナハトは大切な誰かと過ごす者が多い。
それは家族であったり親友だったり、恋人だったり。
その関係性の名前は違えど、暖かなキャンドルに照らされてご馳走を食べて、聖夜に想いを馳せる。それが普遍的な過ごし方だろう。
すくなくとも人々が寝静まり、夜空の星々がくっきり見えるような時間帯。
誰もいない町の広場に三人集まって雪だるまを作っているのは、イレギュラーに該当すると思われる。なんなら世界の右側に居る存在に至っては完全な異形であり『人』という単位があっているのかすら疑問だ。頭にはクリスマス気分でも味わってみたかったのか、はたまた人の真似事をしてみたのか、可愛らしい赤い帽子が乗っかっている。そして、その異形――観測端末がどこにあるのか皆目見当もつかない『口』を開く。
「人ハ面白イコトヲ思イツキマスネ。雪玉ヲ重ネテ、人ニ見立テ愛デルナド」
器用に触手を動かして観測端末は雪だるまをこさえていった。大きい方は下にして身体の部分に、小さい方は上に乗せて頭の部分にする。愉しくなってきたのか、一つ二つとどんどん数を増やしていった。朝日が昇ればきっと溶けて地面の染みになってしまうのだろうと分かってはいたが、観測端末は手を止めることは無かった。
「雪兎つって、兎を作ることもあるけどな……あ、首とれちまった」
観測端末の問いに応えながら世界は、誤ってもいでしまった雪だるまの頭を右手に持っていた。折角、可愛く作れたのにとぼやきつつも「まぁ、いいか」と再度、身体の上に取れた顔を乗せる。修復材としてその辺の雪を集めて、首周りにくっつけた。先ほどより僅かに右に雪だるまが傾いた。
「ああ、寒い。足先から凍えてしまいそうだよ」
そういったェクセレリァスの唇は動いていない。頬杖をついてはぁと、ェクセレリァスは白い息だけを吐きだした。二人がせっせと雪だるまを作っているのをェクセレリァスはぼんやりと眺めていた。自分の分を作り終えたェクセレリァスだったが、如何せん寒い。
身に纏うサンタクロースモチーフの赤いワンピースはお気に入りだが、スカートから入り込んでくる冷気を感じて、ェクセレリァスはもう少し暖かい恰好をすればよかったと憂いた。
「まだ、かかりそうかな」
「モウ少シオ待チヲ」
「此処のバランス直したい」
「仕方ない。私ももう一つくらい作ろうかな」
街角や 人外どもが 雪の跡。
我らの時間はこれからだ。
※SS担当者:白