PandoraPartyProject

イラスト詳細

クリスマスパーティ!sideA

作者 ヤぴ
人物 日向 葵
イラスト種別 関係者6人+PCピンナップクリスマス2022(→おまけイラスト
納品日 2022年12月24日

4  

イラストSS

 幻想のとある町に店を構える喫茶『ノワール』。店自体が木造建築だということもあり、普段は穏やかな場所である。だがしかし、シャイネン・ナハトである今日はいつもと様子が違っていた。
 店内のあちこちに見られるシャイネン・ナハト仕様の飾りつけ。ホールには大きな机がテーブルにクロスが敷かれ、様々な料理や飲み物がずらりと並ぶ。今日の喫茶『ノワール』はある団体が貸し切っているのだ。
 店主が用意をし終えると、本日この店を貸し切った馴染の団体客がやって来た。
「ふわ~! すごいっす!」
 店内に一番乗りした陽は、葵の腕をぐいぐいと引っ張りながら店内へと入って行く。その後ろから、サッカー部のメンバーが入店する。静かだった店内が、一瞬の内に騒がしくなる。挨拶もそこそこに、サッカー部のメンバーたちはグラスを片手に乾杯すると、各々好きなように食事や会話を楽しみ始めた。

「あおにぃのそのケーキ、美味しそうっすね?」
「ん? 美味いぞ」
 シャイネン・ナハト仕様の可愛いらしいショートケーキを食べていた葵は、近くで料理を楽しんでいた陽にそう尋ねられた。どうやら、陽もケーキが食べたいらしい。そう察した葵は、フォーク刺したケーキを陽に差し出す。陽は差し出されたケーキを、「あーん!」と口に含める。
「ほれ……どうだ陽、美味いか?」
「美味しい! あおにぃ、もう一口ちょーだいっす~」
「はいはい」
 仕方がないな、と言いたげに、微笑みながら二口目を差し出す。そんな二人の様子を、空太郎は離れた場所から見ていた。
「ヒヒ、これは邪魔できまセンねー」
 普段ならば葵を茶化そうと絡みに行くところだが、兄妹仲良く過ごしているのを邪魔する程、空太郎も無粋ではない。少し下がろうとしたところで、空太郎は誰かにぶつかった。
「おっ、と?」
「……ああ、先輩でしたか。大丈夫ですか?」
「あー、おれっちは平気デスよ」
 どうやら、霊路にぶつかったらしい。とはいえ、彼は特に気にした様子もないようだ。空太郎はそのまま兄妹の様子を伺っている。空太郎は平気そうだ。霊路は、改めてテーブルの上に並べられた唐揚げを取ろうとした。
「……あ、」
 唐揚げを取ろうとしたところで、霊路は安幸と目が合った。目が合うと思っていなかったのだろう。安幸は「わっ!」と驚く。どうやら、安幸も同じ料理を取ろうとしていたようだ。
「すみません。先輩、どうぞ……」
「ご、ごめん霊路君! じゃあ、頂くけど……良い?」
「はい」
 丁度、残り一個だった唐揚げは安幸の皿に収まった。仕方がないとはいえ、なんだか霊路に悪い気がして、安幸は別のテーブルにまだ唐揚げは余ってないかと辺りを見回す。どうやら、向こうの方で追加の料理が運ばれてきたようだ。安幸は「取りに行ってくるね」と告げると、マカロンを食べていた帝人とすれ違った。
「ああ、このマカロンも美味いな。――早くそのマカロンをこの私にくれ。待たされるのは好きではない」
 離れたところから「はーい!」と可愛らしい女性の声がする。この店の店長であるプラリネの声だ。しかし、帝人の要望はそう簡単には通らなかった。途中で、善気にナンパという名の足止めをくらっていたのだ。
「やめろ、ヨシ。その子も困っているだろう……」
 善気の双子の兄である良平が、呆れながらも制止する。しかし、そう簡単にナンパは止められなかった。
(帝人君が怒る前に、解放されると良いんだけれど……)
 とはいえ、安幸はナンパを止める程の勇気はない。あとは良平に任せて、霊路のために唐揚げを取りに行った。

<続く>

 ※SS担当者:萩野千鳥

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