イラスト詳細
マリア・レイシスのsuyariによる2人ピンナップクリスマス2022
イラストSS
●Shouldn't all of us on earth give the best we have to others and offer whatever is in our power?
シャイネンナハトの恐ろしく寒い夜でした。夕方にもなると、暗がりに華やかな電飾が光る中で雪が降りあっという間に景色を白で彩っていきました。そんな中、寒さに凍え道を右往左往する可哀想な女性が居ました。
「寒い……どうして……あっ、ちゃんとやります、すいませんとらぁ様」
「とらぁ」
「コミュニケーションが取れているかもいまいち分かり難いのですが……」
彼女は『( ╹⋏╹)』という厳しい視線を浴びながら手にはビラの束を持ち配って居ました。ですが中々ビラを貰ってくれる人は居らず、此の儘では無給で働かされた上にサンタコスという辱めだけが残るばかりです。
「VDMランドへー、ようこそー!
お得なクーポン付きのぉー! ビラはァァァ! 如何ですかァァァァァ!」
其れは、真っ赤な嘘です。クーポンなんてついていませんが、一度渡してしまえば此方の勝ちだと彼女は踏んで叫びました。
「ううっ、寒さの余りストーブとかご馳走とかお婆様の姿まで見える」
”嗚呼、お婆さん”と血縁でも何でも無い見知らぬお婆さんの幻影を覧て泣いていた彼女は閃いたのです、『ひょっとして此のビラ、燃やしたら配ったと言い張って如何にかこうにか隠蔽出来やしないか?』と。
壁にマッチを打とうとした時でした、振り上げた腕をとらぁ君が掴み、厳しい視線で見下ろして居たのです。こと、仕事に関しては完璧主義な彼が、許す訳がありません。彼女の其の掌に懐炉を渡して、『お優しい……!』と絆された所で、ビラの追加を重ねました。要は、良い上司とは飴と鞭の使い分けが上手いのです。
「きeeeeeeeeee!
判りまーしーたー! ビラは、ビラ如何ですか、燃やすのに丁度いい、良い感じのビラですよォォォォォ!」
※SS担当者:しらね葵