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澄恋のくらいによるシングルピンナップクリスマス2022
澄恋のくらいによるシングルピンナップクリスマス2022
イラストSS
シャイネンナハトの朝、澄恋は大きな鏡の前へとやってきた。
傷や埃が入らないようにかけられた赤椿のカバーをゆっくりと上げて、髪を整え始める。
手に取ったのは大切な人から貰った櫛。
隣にいてくれるお礼にと、言葉に出来ない気持ちが込められた品だ。
「…………」
力を入れず、少しずつ澄恋は櫛を入れていく。
少しでも絡まっている部分は無理に櫛を入れず、一本ずつ丁寧にほぐす。
そんな中で澄恋の耳が少しずつ、赤く染まっていく。
誰にも見られてもいない、澄恋だけの空間だというのに。
否、むしろそんな空間だからこそ、彼女の耳は赤く染まっていた。
「……っ……」
彼女が赤くなっていく原因は、今現在手に取った大切な櫛。
昔の話だが、櫛を贈るというのは「共に死ぬまで寄添いながら生きていこう」という意味を込めて贈られる代物。
その意味を知っている澄恋は実際にこうして贈られた櫛を手にとって、色々と実感しているのだ。
空とはまた違った、曇りのない透き通った海のような水色の髪。
寝起きで絡まっている髪の毛を、流れに沿ってゆっくりと解して。
薄い桃色の指が髪の間を通り抜ける頃には、いつものサラサラな長髪が鏡の前にあった。
※SS担当者:御影イズミ